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【FAN WAR】ARMYはバンタンだけが食べるパイ【K‐POP】
どうしてファンが戦争してるの?
私はバンタン沼で初めてK-POPを知り、K-POPファンダムに属するという経験をしました。
初期によく思ったのが、「何て怒りっぽい界隈だ」でした。よくわからないながらも、何かと戦っている人が多い、という印象を受けたからです。
ファンの愛がエモーショナルな反応をさせるのかなと想像していたのですが、しばらく沼に肩まで漬かって周りを見ていると、半分くらいはK-POP業界の構造的な自然現象なのではないか、という説が自分の中に生まれてきました。
というわけで、今回は新規の目から見たK-POP界におけるFAN WAR(ファンダム間の争い)とARMYについて、語ってみたいと思います。
K-POPとファンダム
K-POPファンダムの特徴は、「よく働く」ということだと思います。
ただ推しを応援するファンというだけではなく、投票、ストリーミング、プロモーションなどの活動を担う後援組織として機能しており、SNSを通じて広範な影響力を持っている点が、非常に特殊だと感じます。
K-POP界隈では、ファンが投票やストリーミングをすることでチャート類を動かし、メディア露出や受賞に直結させていくというシステムが確立されており、ファンの支援活動が直接アーティストの活動機会に影響を与えます。
で、こういったK-POP特有のファンダムによる応援文化に衝撃を受けたのが、欧米中心のグローバルチャートシーン。
チャートというものに対する取り組み方が全く違う両者が、市場のグローバル化により同じ土俵で戦うようになったわけですから、それは荒れますわね。
チャートは人気に従って上がるもんだくらいに思っていたところへ、「推しは一位にします!」と決意しているK-POPファンダムが全力で走ってきたわけで、しかもこのファンダム規模がでかすぎるw
絶え間ない競争による対立構造
投票やチャート・ストリーミングなど、こういったファンダムの活動は絶え間ない競争で組み立てられているため、当然対立構図を生みやすくなります。
基本的に他のファンダムはライバルであり、同盟関係が成立するのは利害が発生しない場合に限られます。
そのため、新しいアーティストがデビューすると、既存のファンダムから脅威と見なされ、ファン層拡大阻止のため攻撃されることがあるようです。
デビュー直後の場合はファンダムが出来上がっていない、もしくは成熟していないため効果的な防御が難しく、多くの場合狙われたアーティストは勢いを失います。
若いファンダムが崩壊すると、そこから散ったK-POPファンを他のファンダムが吸収することができるため、一石二鳥という側面があるのだと思われます。
こういった動きは、最近行われたBELIFT LABとミン・ヒジンの訴訟の中でも語られています。
法廷での主張に組み込まれるくらいそういう現象が存在してるんだ、と改めて変な感心をしました。
BELIFT LABの弁護人は次のように述べました。
「被告は実際、不純な目的を持って攻撃の対象を探っていました。まだファンダムが形成されていない、潜在的な競争相手となりうるガールズグループを標的にして攻撃しました。被告は自分の好みに合わせた匿名のコメントで自身の主張を展開しました。」
デビュー初期のバンタンが非常に激しく攻撃された理由にも、「三大事務所以外から出た新参(パイを奪い合う新規勢力)に対する、既存ファンダムからの反発」という側面があったのではないでしょうか。
掲示板文化と世論戦
韓国は掲示板文化が盛んです。これは、HYBEの報告窓口テンプレートにデフォルトで掲示板が多く含まれていることからもわかります。
ここもFAN WARの主戦場になっていて、不穏なレスがゴロゴロしてます。5chがいっぱいある感じ?
NAVER
Nate Pann
Daum
TheQoo
DC Inside
Instiz
Ilbe Storehouse
YouTube
X(Twitter)
Music streaming websites
Others
匿名性の高い環境では、感情的な言い争いやデマの拡散が起きやすくなり、対立構造が明確になります。
相手のファンダムスレッドへの潜入やなりすまし、リークといった行動も多発しており、HYBEも摘発に力を入れている様子。
韓国では法律や国際規範よりも感情や世論が重視される傾向があり、「情治国家」という言葉も存在するのですが、こういった背景から世論戦(メディアプレイ・バイラルマーケティング)が頻繁に行われる傾向があるようです。
2012年の朴槿恵元大統領を選出する選挙では、国家情報院が直接メディア・世論操作に加担したとされており、メディアプレイ自体がわりと社会的なテクニックとして認知されているようにも見受けられます。
こうなると組織や資金が絡んでくるため、FAN WARの枠組みを超えた利害対立、ファンダムを巻き込んだ代理戦争なども発生している気配。この場合、ファンダムは兵士の役割も担うわけですね。
限られた資源を奪い合う構図
K-POP業界では熾烈な競争が行われ、限られたリソース(ファン、メディア露出機会、トロフィーなど)が奪い合われます。FAN WARは、それに伴い必然的に発生する自然災害みたいなものではないでしょうか。
アーティストの成功は所属事務所の経済的利益に直結するため、業界的にファンダムの争いを黙認、もしくは利用するような状況も見られます。
ファンダムの民度問題として片づけてしまうには、少々(?)複雑な背景があることが察せられます。
BTSとARMYの特殊性
ARMYもK-POP業界のファンダムとして生まれているのですが、変わっているなと思うのは、初期からグローバルコミュニティとしての傾向が強かった点です。
これには、BTSが初期からSNSでの発信を続けていたことが影響していると思われます。
自分の理解としては、デビュー後なかなか売れず音楽番組への出演機会も少なかったため、自前でできて安価な発信を始めたところ、SNSの隆盛や海外の韓流ブームも重なって、早期にグローバルファンを獲得したのではないか、と思っています。
ブラジルにおけるK-POP人気の主な要因:
1. 韓流ドラマの影響:『花より男子』など、韓流ドラマが人気を博し、韓国文化への関心を高め、K-POPの受容を促進。
2. SNSの活用:K-POPはYouTubeなどで最新の音楽を無料で視聴しやすく、手軽な娯楽。カバーダンスなどファンの二次創作活動も活発。
アラブからケーキが届いてます。「ARAB ARMY」って字面が強いwww
そのため、BTSのファンダムは従来のK-POPファン層(K-ARMY/本国アミ)とグローバルな層(I-ARMY/国際アミ)とが混ざっている状態であるように思われます。
自分が興味深いなと思っているのは、「I-ARMY≠K-POPファン」という点です。海外勢がARMYになる過程で、K-POPファンが増えたわけではなく、BTSを学習したBTSファンが増えたのではないかという気がします。
例としてXで拾ったポストをご覧ください。
Stolen from kpoppies. 🤣
— ⟭⟬Indigo Gwen💜⟬⟭²⁰²⁵ ᴮᵗˢ ʸᵉᵃʳ ⁷⁼¹ ᴮᴱ ᴾʳᵒᵒᶠ (@ARMY4LIFE84) January 4, 2025
🟢 I listen a lot/stan.
🟠 I listen/casual fan.
🔴 I don't listen.
exo 🔴
svt 🔴
BTS 🟢
skz 🔴
theboyz 🔴
nct 🔴
p1harmony 🔴
astro 🔴
got7 🔴
enhypen 🔴
ateez 🔴
monsta x🔴
SHINee🔴
cravity 🔴
zb1 🔴
8turn 🔴
& team 🔴
riize 🔴
これは半分冗談ですが、実際こういう層多いと思います。
国別のGoogle Trendsを見ていても、「ここ、K-POPが好きって言うよりBTSが好きなんやな……」って思う国があります。
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K-POPの文脈を当て嵌めるのは適切か
現在BTSは5/7人が兵役服務中です。
従来のK-POPの流れで考えると、「兵役中はファンダムの結束力も下がるため、潰すチャンス! 内部分裂を誘って、あわよくば……」という発想が出るんじゃないかと思われます。あ、これはあくまで私の妄想ですよ。
ただまあ実際去年は「この1年は非常に攻撃された」「悪夢のような年だった」と嘆く古参アカウントを、よく見かけました。
個人的には、「BTS&ARMYを従来のK-POPの文脈で考えても、意味がないのでは?」と思っています。理由は以下です。
BTSの軍白期は白くなかった
ARMYには、K-POPファンではない層が多くいる
1つには、ウリバンタンは本当に働き者で、「ARMYはすぐ退屈するから」「幸せにしてあげなきゃいけないから」って言いながら大量のプレゼントを残してくれ、転役した2人も翌日から働き倒しているところです。尊すぎる。ありがとう……!!
ホビのソロツアーが完全体復帰までの期間を埋めることが発表された今、もはやバンタンに死角なし。軍白期なんかなかったんや!という結論に至らざるをえません。よしなかった!
2つには、ARMYというファンダムを解体したとしても、散ったリソースがK-POP業界に還元される率は低いだろうという点です。
今はBTSが「K-POP」という椅子に座ってくれてるからARMYの愛が韓国に流れ込んでいますが、もし彼らがその椅子から立ち上がったらARMYはそれについていくでしょう。
そして万が一彼らと別れる日が来たら、このファンダムとそれが生み出す消費は結節点を失い、世界に散るんだろうなと想像しています。もったいない😇
私はBTSの7人が出会ったことも奇跡だと思いますが、今このファンダムが存在してることも奇跡だと思っています。
ARMYはK-POPのリソースじゃなくて、バンタンだけが食べるパイです。切り分けても、他のファンダムの取り分は期待するほど増えないと思います。
もしつまらないことを考えてる人がいたら、そう教えてあげたい。
OT7が推される理由
バンタン界隈では、「OT7(One True Seven=運命の7人=箱推し)」が強く謳われます。
そこには当然「7人が一緒にいるのが最高!」という声があると思いますが、ここまでに語ったような背景も影響していると思われます。
「BTS」を推すファンダムとして団結力を保つことが、内外からの攻撃に耐える力を与え、グループ、引いては各推しへのより大きな応援に繋がる、という考え方です。
単推し過激派の中には「独立したらいいのに」と思う人もいるのではないかと思いますが、それはファンダムの内部分裂を引き起こすという点で外部攻撃派(アンチ)と方向性が同じであるため、非常に嫌われているようです。
※「Diet」と呼ばれる、6人推し派なども同様です。
推し方は人それぞれだと思いますが、ファンダムの多くが箱推しを推奨し、単推しを「Solo」と呼んで嫌う背景にはそういった理由もあるのではないか、という視点は持っておいて損はないと思います。
ARMYは資産か、美味しいパイか
K-POPにおける「ファン」はただの集金源ではなく、アーティスト活動を押し上げるための活力であり、資産と言えます。
そのため、苛烈な競争の中で資源の奪い合いが発生しますし、愛と対立が折り重なってマイナスの感情を呼ぶこともあります。
でも、私たちはただの資産じゃありません。バンタンのアミなのです。
バンタンはことあるごとにARMYに感謝し、「僕らのARMYが賞をもらったね」と言ってくれますが、それはけしてファンサービスではなく事実として述べている面があると思います。
実際、BTSがトップアーティストへの階段を一足飛びに駆け上がって行った時、傍で共に走り彼らを支えたのは世界中のARMYだったと思います。
英語のレクチャーも受け、ドキドキしている様子が初々しいバンタンを、会場前に集まったARMYが大歓迎し、報道陣の注目を引き付けます。アメリカでは無名な存在の自分たちをメディアに気づかせてくれた、とジン君が感謝していますね。
実際、アメリカでウリバンタンを見られる!と歓喜した在米ARMYの歓声はムーブメントになり、「こんなに熱狂されてるBTSって何!?」と世界にその存在を知らしめるきっかけになったように見えます。
K-POP業界で生まれ育っているバンタンは、「よく働くファンダム」であるARMYのことを理解しています。彼らは、ファンが思うよりずっとファンダムのことを見ているし、気にかけています。
だからこそ、彼らが叫ぶ「ARMY!」は私たちの心を震わせ、この特異で巨大すぎるファンダムをまだ存続させ続けているのだと思います。
RMは自分たちのグループの成功について「これは苦闘の結果であり、それを見過ごしたくありません」と言います。――自分たちの舞台裏での苦労ではなく、ARMYが彼らの崇拝の対象を世界とチャートのトップに留めるために払う努力の量を指しているのです。
ARMYはBTSのファンダムであり、彼らを応援するために存在しています。
バンタンだけが食べるパイの一切れ。
私はその一部であることをとても嬉しく、そして興味深い経験として受け止めています。誰かに切り分けられたくはないものです。
お互い、幸せでホカホカな、美味しいパイでいたいですね( *´艸`)
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