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千馬
2021年4月26日 23:11
晩御飯の調達のために小道を下るわたし時計を見ると時刻はもうじき5時になる。すれ違った小学生くらいの子供たちは、『ゾロリ借りてきたよ』『読みたかったら着いてこいよ』『早く読もうぜ』などと、無邪気にたむろっている。そいえばこんな日常自分にもあったな、とふと情景が蘇りかけるわたしそんなわたしも気づいたら、人くさい道を駆け巡り、目が合っては交わす日々を重ねている。実につまら、な
2020年12月22日 16:20
暖かい部屋の空気もぽつんと置かれたこたつも焙煎機で踊るコーヒー豆の姿を見るのも、もはや日常風景になりつつある近所の公園の銀杏の葉も、黄色く彩り、鮮やかに去っていくようだったもう今年も終わりかぁ、とふと思ってしまうのは退屈すぎたゆえか、それとも日常が麻痺してしまったからなのか、、、そこはあえて深入りしないでおこうそんな感傷に浸り、消えつつあった我も焙煎機の停止音で立ち返る秋の暮れ
2020年10月16日 13:27
人はノートに彩りを与え続けている。ある意味デザイナーなのかもしれない。人によって色、デザイン、厚さ、大きさ、長さ、全てが違うこのノート。まっさらだった僕のノートも、随分と沢山の色が重なっている。決してきれいとは言えないかもしれない。けれども、僕はこの色が好きだ。誰とも被ることのないこの色が好きだ。これから先このノートがどれほど厚く、大きくなるかは誰にも分からない。ただ、希望や欲望を
2020年10月7日 07:29
時計を見た。もう日が暮れてもおかしくない時間だ。やばいっ間に合わない、と慌てて支度をし車を走らせる。こんなにギリギリでは初対面なのにあの子に申し訳ないな、そんな思いが頭をよぎる。かと言って引き返すには心惜しい。自然と手には力が入り、ハンドルには手汗が残る。「目的地に到着しました。お疲れ様でした。」ナビの声が車内に響いた。時計の針は閉店5分前ギリギリだ。急いでお店に入ると、ほわわっとあ