移民を大量に受け入れる国は、社会的弱者に厳しい、弱肉強食でなくてはならないのか?(アメリカの事例)
アメリカ合衆国は、移民を大量に受け入れる国である。最近は、移民に厳しい世論が出てきているが、それは最近のことで、歴史的にみれば移民を大量に受け入れるのがアメリカのやり方だった。広大なアメリカの領土を開発するには、移民が大量に必要だったのだ。また、人種に関係なく、優秀で英語を話せる人はどんどん出世するのがアメリカ流だ。オバマ氏も、カマラ・ハリス氏も、マイノリティの人種だ。だが、2人とも大統領選挙に出るほど出世した。オバマ氏は実際に大統領になった。GoogleのピチャイCEOも、インド系でありながらGoogleのトップにまで出世した。
ところが、アメリカは、決して誰もが活躍できる夢の国ではない。アメリカンドリームなどと言われるが、弱者には徹底して厳しい国であると思う。
なぜ、そのような弱肉強食でなくてはならないのか?それは、移民を大量に受け入れて、弱者にまで優しくすると、「社会福祉にただ乗り」する移民弱者が出てくるからだ。そのため、「活躍できる優秀な人以外は、来ても無駄だよ」と、そのように思わせる必要があるのだ。もちろん、それでも、夢をみてアメリカへ行く人は大量にいるが。
アメリカは、日本やフランスと比較しても、医療などの社会福祉が脆弱だ。そのため、病気になっても受診控えする人が多いらしい。請求金額が怖いからだ。アメリカは、西部劇の時代の「個人の強さ」が信奉されるマッチョ思想のせいかもしれないが、手厚い社会福祉には批判が多い。特に、共和党支持者に顕著だ。実際、トランプ氏はオバマ氏がつくった医療制度を厳しく批判していた。
以前も書いたが、カリフォルニア州では、貧しい人がテントや自動車で生活している。さらに、医療も脆弱となれば、いつ命が失われるかもわからない。これが、アメリカの現実なのだ。
私は、どちらかといえば、カマラ・ハリス氏のような、少し左派的な経済政策のほうが好ましいと考えている。しかし、それはアメリカ国民が選挙で決めることなので、見守りたいとは思う。日本人の私がとやかく言うものではない。
また、これから、日本が移民を受け入れしないと社会が破綻するほど超人手不足になるが、社会の在り方を考えなくてはならないだろう。ウィシュマさんが亡くなったような入管事件は絶対にあってはならないが、一方で、日本は世界でも希な、日本国籍を持たない人にも生活保護が支給される国だ。移民国家をもし目指すならば、国民的な議論が必要になるだろう。