会社員が自分の身を守るための法律一覧!(労働法・民法・刑法)
会社員は、パワハラ・セクハラ・カスタマーハラスメント、理不尽な減給・降格などに抵抗する必要がある。そのための法律知識を紹介したい。日本は基本的には条文が重視されるため、ドイツ・フランスと似た大陸法体系だが、判例も重要であるため、興味のある人は労働関連の判例集も調べるとよいだろう。
労働基準法
重要な条文
第3条(適用範囲): 労働者が適用されることを明記し、労働条件の最低基準を定めている。
第4条(労働条件の明示): 使用者は労働契約の内容を明示しなければならないと規定している。
第15条(解雇の制限): 解雇は合理的な理由が必要であり、不当解雇に対して労働者を保護している。日本においては判例も重視されており、正社員の解雇は相当な理由(働ないで遊んでいる、犯罪をした、等)がないと解雇できない。
労働契約法
重要な条文
第1条(目的): 労働契約の適正な締結と履行を促進することを目的としています。
第8条(労働契約の変更): 労働者と使用者が合意することで、労働契約の内容である労働条件を変更できると定めており、労働者の合意なしに不利益な労働契約の変更は禁じられている。
第16条(解雇権の濫用): 解雇権の行使が権利の濫用と認められる場合、無効とされる。
民法
重要な条文
第709条(不法行為): 他人に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任がある。これはパワハラやセクハラ、カスタマーハラスメントの加害者に対して適用される。労働法とは異なり、顧客にも適用されるのがポイントだ。損害の程度を正しく文書にするため、精神的なダメージの場合は医師の診断書で「うつ病」と書いてもらうとよい。
第715条(使用者責任): 使用者は、従業員が業務に関連して不法行為を行った場合、その責任を負う。これにより、直接の加害者だけでなく、企業もハラスメント行為に対して責任を問われる。
刑法
重要な条文
第222条(傷害罪): 他人に対して暴力を振るった場合、傷害罪として処罰される。パワハラやセクハラが身体的暴力を伴う場合、この条文が適用される。
第230条(強要罪): 脅迫や強要によって他人に不当な行為を強いることは犯罪とされる。人事評価や不当な異動などを脅しに使って何かを強要された場合、強要罪で刑事告訴することが可能だ。
パワーハラスメント関連法規
重要なポイント
パワハラ防止法: 企業にはパワハラ防止措置が求められ、違反した場合は行政指導や罰則が科される。
懲戒処分の基準: パワハラ行為に対しては、停職や減給などの懲戒処分が可能。
セクシャルハラスメント関連法規
重要な判例
セクハラによる解雇や減給について、裁判所は「セクハラの申し出を理由とした処分は許されない」と判断した事例がある。公益通報者保護法による保護も規定されている。
カスタマーハラスメント
定義と対応策
カスタマーハラスメントとは、不当な要求や暴力によって従業員が精神的苦痛を受けることである。企業には適切な対応策が求められ、安全配慮義務違反として使用者に賠償責任が生じる。