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三寸の舌の有らん限り -金子堅太郎の闘い-

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司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」で描かれなかった金子堅太郎の活躍を記録します。
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記事一覧

【三寸の舌の有らん限り】[20]-旅順口閉塞作戦01-(1287文字)

  明治37年(1904年)2月10日ー。日露両国の宣戦布告がなされたこの日、時事新報から『帝國海…

はーぼ
1日前
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【三寸の舌の有らん限り】[19]-ウラジオストク艦隊-(1495文字)

  明治37年(1904年)2月10日に、日露両国は宣戦布告を行なっている。  [既に戦闘が両国間…

はーぼ
8日前
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【三寸の舌の有らん限り】[18]-高橋是清03-(2138文字)

  日露戦争開戦の前年である明治36年(1903年)も押し迫った12月29日夜の9時頃のこと。 …

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2週間前
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【三寸の舌の有らん限り】[18]-高橋是清02-(1614文字)

 金本位制(通貨と金を交換できる仕組み)を、最初に採用したのは英国であった。  ヨーロッ…

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3週間前
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【三寸の舌の有らん限り】[17]-高橋是清01-(2378文字)

 時間軸は日露戦争開戦の前年、明治36年(1903年)10月20日に遡る。  前日の19日は、日本銀…

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4週間前
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【三寸の舌の有らん限り】[16]-ベルツ日記-(1679文字)

 明治9年(1876年)に東京医学校(現在の東京大学医学部)の教師として日本政府から招かれた…

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1か月前
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【三寸の舌の有らん限り】[15]-旅順軍港奇襲作戦-(1511文字)

 圧倒的戦力で仁川港の制圧に成功した日本海軍だが、それ以上に重要であったのは、黄海の制海権を握ることであった。  満洲の野においてロシアと雌雄を決する、陸戦で決着をつけることが日本の戦争方針であった。    朝鮮半島・遼陽半島に兵站基地を確保し、満洲の地へ輸送・補給を円滑に行うためには、黄海の制海権を確保する必要があった。    制海権を握るためには、旅順軍港に停泊しているロシア太平洋艦隊主力(=旅順艦隊)のすべてをせん滅しなくてはならない。  東郷平八郎大将率いる連合艦隊

【三寸の舌の有らん限り】[14]-仁川港-(1207文字)

 2月6日に佐世保軍港を出撃した、装甲巡洋艦「浅間」・第四戦隊巡洋艦「浪速」「明石」「高…

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1か月前
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【三寸の舌の有らん限り】[13]-伊地知幸介01-(1260文字)

 「坂の上の雲」での日露戦争を主題とするパートにおいて、作者である司馬遼太郎氏からもっと…

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1か月前
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【三寸の舌の有らん限り】[12]-山本権兵衛01-(1080文字)

 海軍大臣・山本権兵衛は嘉永五年に鹿児島県鍛治屋町に生まれている。 嘉永五年(1852年)は…

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2か月前
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【三寸の舌の有らん限り】[11]-児玉源太郎04-(1311文字)

 ロシアと戦争をして、勝つ見込みがあるのかどうかー。金子堅太郎の問いに、児玉源太郎はこう…

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2か月前
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【三寸の舌の有らん限り】[10]-児玉源太郎03-(1210文字)

 近代軍事史を専門とする長南 政義氏は、著書「児玉源太郎」において、児玉源太郎の日露戦争…

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2か月前
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【三寸の舌の有らん限り】[09]-児玉源太郎02・明石元二郎01-(1750文字)

  司馬遼太郎氏の著作『坂の上の雲』において、日露戦争の陸戦を描いたくだりでは、主人公と…

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2か月前
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【三寸の舌の有らん限り】[08]-児玉源太郎01-(979文字)

 明治36年10月1日、参謀本部次長の田村怡与造が死去した。  対露作戦計画の立案中心人物であったことから、その衝撃の度合いは大きい。  無二の良将を喪った、とそう陸軍大臣の寺内正毅は山縣有朋に宛てた書簡の中で吐露している。    後任についてはすぐに決まらなかった。  参謀総長の大山巌は同郷の鹿児島出身で姻戚関係のある伊地知幸介を、という意向があったが、陸軍大臣の寺内正毅がこれに反対した。  参謀本部総務部部長の井口省吾は第二部長の福島安正を推したが、参謀総長の大山巌が賛成