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[介護][生活][読書]あいまいさに耐える

(殴り書きであるが、公表しておく。いま考えていることを記録しておきたいと直感したから)

宮地尚子『傷を愛せるか』を読んでいて、感銘を受けている。シンプルな言葉遣いで、生きるうえで大切なことが書かれている。これを読んでいる時、というか今週は酷い有様であった。体調不良もあるが、また例の人間との行き違いが発生し、無駄な精神の浪費をしたから。この本はその意味で、少し気分を楽にさせてくれるところもあった。暗い本ではあるが、むしろその方がしっくりくる。文庫化されて増刷を繰り返していたことを思い出す。

この本を読んでいると深く共感するところがいくつもある。それは生死にまつわるところだ。海で溺れかけた時の幸福感について書かれた箇所は現在の自身の死生観にしっくりくる。

あとは現在読んでいる章の、著者がバリを訪れた際のエピソードだ。私はこれを読んでいて、やはり母の不在について思いを馳せないわけにはいかなかった。

そして最近、私はようやく気がついたことがある。それは「ああ、母はもう家にはいない」ということだ。しかし彼女はまだ元気に生きていて、私のことを少しずつ忘れていっている。

ただいまを言わなくなってもう2ヶ月だ。わたしはこれから、誰かが待っている場所に住むことはないのかもしれない。

ぼんやりとした2LDKに、私は住んでしまっている。もともと私の部屋などはない家にだ。〈あいまいな喪失〉(ポーリン・ボス)とはよく言ったものだ。
ある不思議なさみしさと、静かな時間が混じりあう。この静けさを大事にしたい。それはどこか豊かでもある。ああ、そうだ。私はこの時間のことを書いておきたかったのだ、と今更に思う。この時間を思えば、ある種の諍いなど、全くどうでもいいことである。

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