自分で自分を追い込ませる教員は要らない

時々、自分を責めて、自分を追い込んでしまう子どもがいる。
特に従順で真面目な子ほどそうなるように感じる。

これはなぜか。

それは周りの大人が追い込んでくれないからだ。

厳しくするとすぐに虐待だパワハラだと騒がれる昨今では、
子どもの周りには甘やかしてくれる大人ばかりだ。

ほとんどの子どもは、そのような環境に危機感を抱くことはない。

しかし、真剣に自分を高めたいと思う子どもは、それじゃダメだということをわかっているのだと思う。

実際に自分のしたことの周りへの影響や友達の反応から、自分を正しく自己評価できる子どもにとって、大人が口先だけで褒めてくれていることなどお見通しだ。

そのような生ぬるい環境に満足できない子が、自分で自分を追い込むようになるのではないだろうか。

例えば、間違えたことを過剰に悔いたり、
失敗した時に、自分を叩いたり、
自分を卑下する言葉を発したりする。

しかし、発展途上の子供は、適度な追い込み方が分からないから、際限なく追い込んでしまうのだ。

「自分はダメな人間だ」
「自分なんていない方がいい」
「消えてなくなりたい」

周りの大人は、そのような子どもの行動に驚き、心配するだろう。
そして、こう考える。

『この子は自己肯定感が低い』と。

これが大きな間違いなのだと思う。

おそらく、このような子どもの行動を知った周りの大人たちは、その後、更にその子に優しくするだろう。
そして、自己肯定感についてもよくわかっておらず、褒めることで自己肯定感が高まると思っているから、今まで以上にちょっとしたことでも褒めるようになる。

しかし、その子は自分を高めるために、自らを厳しい状況に置こうとするのだから、
ますます、その行動はエスカレートしてしまう。

つまり、向上心の強い者にとって、甘やかしは毒になるということだ。

褒めることや肯定することを『認めること』としている教員は、これらを甘やかしとは認識しないだろう。

その子は、もっと高い次元で認められたいと思っているのだが、そんなことはおかまいなしである。

褒めてあげて、肯定してあげるだけで満足なのだ。

しかし、『認めること』の中には、
相手のポテンシャルを信じるという要素もあるはずだ。

だから、自分を追い込み過ぎる子どもの行動に恐れ、腫れ物のように扱うのではなく、

失敗したことや間違ったことに正しく向き合い、それを克服するために、適度なプレッシャーをかけてあげることが大切なのではないだろうか。

プレッシャーは悪ではない。
必要なプレッシャーは間違いなくある。

プレッシャーの強弱をコントロールする力は、教員にとって、とても大事な能力である。

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