【コラム】人間関係に悩む人必見。心地よい関係性を育む方法
こんにちは。僧侶の神崎修生です。
先日、幸福学の第一人者である前野隆司先生の研究室(慶應義塾大学大学院)より、前野マドカ先生、岡本直子先生がお越しになり、「幸福学ワークショップ実践講座」が開催されました。
そちらに参加してきましたので、その講座からの学びと、そこから感じたことをお話できたらと思います。
前回は、「幸せの4つの因子」についての概要と、その1つ目、「自己実現と成長の因子」(やってみよう因子)についてお話をしました。
今回は、2つ目の「つながりと感謝の因子」(ありがとう因子)をもとに、「人間関係に悩む人必見。心地よい関係性を育む方法」といったテーマでお話をさせていただきます。
「幸せの4つの因子」をもとに、日常から幸せを感じ、心豊かに満たされた状態で過ごす工夫について、何回かにわたって考えてみたいと思います。
▷幸せには、つながりと感謝が重要
前野先生によると、幸せを感じる因子は4つあり、その2つ目、「つながりと感謝の因子」(ありがとう因子)をもとに、今回はお話をしていきます。「つながりと感謝の因子」の要点は、以下になります。
・色々なことに感謝する人は幸せ。
・親切で利他的な人は幸せ。
・多様な友人を持つ人は幸せ。
色々なことに感謝し、人のことを思いやり、親切にしようとする生き方は、非常に幸せな生き方だと思います。日頃、ご年配の方と多くお会いする機会がありますが、「毎日が感謝です。家族や色々な方のおかげさまで、今こうして過ごさせていただいています」といった言葉や、「若い頃は、よくわかりませんでしたが、自分が親になり、歳を重ねて、親のありがたさがよく分かるようになりました。亡くなった父母が見守ってくれていて、その温もりの中で生かされています」といった言葉を口にされる方にお会いします。
その方々のお顔は本当に満たされていて、とても穏やかです。仏教には、和顔愛語(わげんあいご)という言葉があり、和やかな顔と、思いやりのある言葉をもって他者に接する姿勢を言いますが、和顔愛語という言葉がまさにふさわしいと、接していて感じます。
穏やかで満ち足りた状態でいられるということは、幸せであると思います。多くの方やものとのつながりや、支えを実感でき、感謝して生きられることはとても幸せなことです。
▷自分を大切にすることから、他者理解や思いやりもはじまる
しかし、こうした方々も、すぐに感謝やつながり、支えを実感されたわけではないでしょう。若い頃は「自分が」という我執も強いものです。年齢と様々な経験を重ね、色々な人やものに支えられて生かされて生きていることが実感されて来る中で、感謝の思いや、つながりへの喜びの気持ちが深まってこられたのでしょう。
そして、自分自身が満たされないと、人を思いやるような気持ちには中々なれません。まずは、自分を満たしてあげよう、自分を大切にして生きようとすることも大切です。自分を大切にしないことには、人のことは大切にできません。
また、自分を理解することが、他者を理解することにもつながります。自分が嫌なことは人にもしない、自分が嬉しいことを人にもしようというのが思いやりの心でもあります。自分を理解し、大切にすることから、他者理解と思いやりがはじまります。そして、他者を理解しようとすることが自分の理解をさらに促し、他者を思いやることが、自分を満たすことにもつながります。
▷多様性を受容することで、心地よい関係性が生まれる
自分と他者は違うように、人はそれぞれ違います。生まれや育った環境、受けてきた教育、経験、性質など、全てが同じということはあり得ません。兄弟ですら違います。しかし、日本人という同質性の高い中で生きる我々は、つい自分と違う考えの人を、あの人は変わっているとかおかしいとかいって、批判したり、のけ者にしたり、避けたりすることがあります。
まず、人はそれぞれ違うという前提にたつこと。そして、その人がなぜそうした言動をするのか、その背景を知ろうとすること。今回の講座でも、互いの尊重を前提にした対話の大切さを言われていましたが、私もそう思います。
違いを理解しようとする、もしくは違いは違いのまま、なるべく価値判断や評価をせず、あるがままにその意見を受け止めようとする受容の姿勢は、他者理解と人間関係の構築において、とても重要なことです。
危害が加えられるような類いのものであれば、自分の身を守ることも大切です。相手が自分や他者に危害を加えようとする意図がなく、実際に危害を加えていない場合は、その言動が自分と違うといって、批判したり、おかしいというレッテルを貼るのを一旦やめ、そうした自分を客観視し、その方がなぜそのような言動をするのかを想像してみること。そうすることによって、初めて会う方でも、いつも会っている方でも、その方をより深く理解し、心と心で接し合うような関係性がうまれてきます。
同じ職場の方であっても、いつも会う友人であっても、実は深いことは知らなかったり、表面上の会話で留まっていることは多いのではないでしょうか。日常の中で、今までより少し深く、相手のことを理解したり想像したりしてみる。そうしたことから、思いやりやつながり、感謝の思いも生まれてきます。
日常のちょっとした時間の中に、比較や損得の会話ではなく、お互いの違いを前提にした対話の姿勢と時間をもつことで、感謝やつながりが深くなってきます。そして、その感謝やつながりは、幸せに直結します。
日常の中で、対話することが中々難しい場合は、私もお寺で対話の会をおこなっていますので、是非ご活用いただければと思います。また、前野隆司研究室でも、企業研修などで、対話のワークショップをおこなっておられるようですので、是非お調べいただければと思います。
日常から、互いに思いやり、感謝できるような、心地の良い関係を築けると、それだけで、とても満たされた幸せな日々になっていきますね。それにはまず自分を大切にすること、自分を満たしてあげることも重要です。そして、対話には、他者との対話を通して、自分の大切なものに気付いていくという作用もあります。そうした、対話の有用性についても、また別の機会でお話したいと思います。
また、どこまでいっても、相手を理解しきることはできないと思っておくことも大切です。相手のことを分かった気になっても、実は相手の思いと全く違うということも往々にしてあります。基本は傾聴、耳を傾けて聞いていくという姿勢が重要ですね。
今回は、「人間関係に悩む人必見。心地よい関係性を育む方法」というテーマから、「幸せにはつながりと感謝が重要である」こと、「自分を大切にすることから、他者理解や思いやりもはじまる」こと、「多様性を受容することで、心地の良い関係性が生まれる」ことについて、お話をさせていただきました。
最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。
合掌
浄土真宗本願寺派 教證山信行寺
神崎修生
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