子守りこそ「ついやってしまう体験」を考えるチカラを鍛える最高の時間
昨年8月に発売され、すぐ話題になった『「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』という書籍をご存じだろうか。 私も発売直後に読んでいる。
粗く紹介すると、任天堂でWiiの企画・開発すべてに横断的に関わり「Wiiの伝道師」とも呼ばれている著者の玉樹さん(2010年に独立)が、「スーパーマリオブラザーズ」や「ドラゴンクエスト」等のテレビゲームを事例に用いて書かれた 体験デザイン(UX)の入門書である。
この本の「はじめに」と「巻末1-応用5」に、著者自身の子育てについて触れられている箇所がある。
片付けしない
歯みがきしない
本を読んでも聞かない
子どもだから仕方がないのかもしれませんが、ここであきらめきれないのが体験デザインを仕事にしている者の性分です。
〜中略〜
「片づけしなさい」
「歯磨きしなさい」
「お話を聞きなさい」
そもそも、命令ひとつで子どもを動かそうとしていること自体甘かったのです。子どもたちがみずからの意思で動き出すためには、親側からのアプローチを改めなければなりませんし、そこにきっと体験デザインが使えるはずなのですが・・・。
(「巻末1-応用5」から引用)
この本を読んだ1年前の自分は、父親歴4ヵ月のまさに新米パパだった。まだハイハイすらしていない我が子に対して、「ついやってしまう」という体験を狙って仕掛ける機会は皆無だった。しかし、娘が1歳前後になってくると「ついやってしまう体験」を仕掛けるチャンスは無限に押し寄せてくるようになった。
9月6日(日)) 7日(月)の2日間、妻が仕事の都合で1泊2日の金沢出張に行っていた。そのため、丸2日間 娘が生まれて初めて、2日以上私だけで子守りをすることになった。(正確には 初日の夕方は近所に住む妻の実家でご両親と、2日目は保育園に預けていたので、この2つの時間以外が父親である私との“マンツーマン子守り”の時間であった。)
ちなみに娘は現在 1歳4ヵ月である。
前置きが長くなったが、今日のnoteは この2日間 娘と過ごしながら発案し、実践し、成功した「ついやってしまう体験」を3つ紹介したい。
いずれの施策も妻の出張2日目(9月7日)の夜で、娘がいよいよ「ママ、ママ」と言い始めたタイミングで絞り出したものである。
課題
①上機嫌な状態のまま風呂から上がって欲しい
(いつもお風呂のオモチャでもっと遊びたいという感じでかなり不機嫌)
②パパに歯磨きの「仕上げ磨き」をさせて欲しい
(いつも自分でゴシゴシやってて歯ブラシを譲ってくれない 本人は甘い歯磨き粉をクチ全体で味わっていたいだけ)
③すんなり寝かしつけたい
(最近どんどん寝るまでのスピードが早くなっているものの、パパですんなり寝るのか未知数 出張初日は妻の実家から2人で帰宅する際のベビーカーの中で寝たため寝かしつけが不要だった)
解決策
①上機嫌な状態のまま風呂から上がって欲しい
⇒2つの鏡を使った「ハイテンションいないいないばぁ」
お風呂中に娘が鏡に向かって「いないいないばぁ」を始めた。
そこで、永遠に繰り返される「ばぁ」の度に大袈裟にリアクションをして機嫌をとりまくった。
風呂から出たら左手に洗面台があるため、「ばぁ」の瞬間に対象となる鏡を風呂の鏡から洗面台の鏡に変えた。(「いないいない」を言い終わった娘を抱え上げて、素早く洗面台の鏡に顔を写し、「ばぁ」と言わせる。爆笑が起こる。実にスムーズに風呂場から体を拭きながら出てくることができ、パジャマをかつてないほどテキパキ着せることができた。完璧だった。
②パパに歯磨きの「仕上げ磨き」をさせて欲しい
⇒パパの歯を娘に磨かせておいてからの役割交代
いつも娘は自分の口に入れた歯ブラシをなかなか離さない。甘い歯磨き粉を舐めながら味わっているのだ。当然、きれいに歯を磨くという本来の目的は達成されないため、必ず夫婦のどちらかが「仕上げ磨き」をおこなう。しかし、いつもそこでグズグズになる。眠たいから余計にグズグズだ。
そこで、次のような施策を講じた。
まず、娘にパパ(私)がハイテンションで歯を磨いているところをガン見してもらう。その流れで、私の歯ブラシを娘に触れさせ、最終的に娘に私の歯ブラシを全部握らせて、娘に磨いてもらうのだ。
その後「はい交代!」と言って、今度は娘の歯ブラシを私が握り、無事に娘の歯を磨ききることができた。完璧だった。
③すんなり寝かしつけたい
⇒歯ブラシの作戦の応用版 パパを寝かしつけた後で役割交代
先月参加した娘の保育園の参観の際によく目にしたのが、ぬいぐるみに布(=布団)をかけてあげて、とんとんと軽く叩きながら寝かしつけている娘の姿だった。布団の上で、今晩の寝かしつけはこれを使おうと思った。
まずは娘に「パパにとんとんして」とお願いする。まんまと少しキツめのとんとんが私の腹に浴びせられた。その後、敷布団を私が叩きながら、「ここに寝て」とお願いすると娘はすんなり私の横に寝転がり、私の「とんとん」を受け入れてくれた。これを3往復ぐらい繰り返すとストンと寝た。完璧だった。
以上が我々親子の課題と解決策だ。
この拙い文章で絵を思い浮かべることができただろうか。。。
本文の内容が「ついやってしまう体験」なのか分からなくなってきたが、そんなことは もうどうでもいい。
月曜の21時台に、平和に笑顔で出張から帰ってきた妻を迎えることができたので、細かいことは気にしないことにする。