昨年のよしながふみの同名漫画を原作とした男女逆転『大奥』(2023年 NHKドラマ10)が終了して間もなく2024年1月、フジテレビで連続ドラマとしては20年ぶりの『大奥 Ooku』が放送されました。しかも『大奥 season2』と同じ江戸時代中期・徳川家治治世期が舞台で今回は史実通り女性の「大奥」です。
主人公は今まで取り上げることがなかった御台所・五十宮倫子女王(いそのみや・ともこじょおう 1738年 - 1771年)です。多くの時代劇で脇役に過ぎなかった江戸幕府10代将軍・徳川家治(とくがわ・いえはる 1737年 - 1786年)が中心人物として登場し、また全編京都ロケで撮影に挑んだのが話題になりました。
概要
倫子女王を演じたのが小芝風花で当作と同じ江戸時代中期を舞台とした『あきない世傅記 金と銀』(NHK BS時代劇、2023年 - 2024年)で大坂・天満(大阪市北区)の呉服商に奉公し商才を発揮した主人公を演じたばかりで次作『天使の耳』(2024年、NHK)で当作に出演した安田顕(後述)と引き続き共演しています。なお小芝風花は2025年NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』に出演予定です。
感想
先ず、衣服から見ましょう。将軍家の婚礼は髪型から衣装に至るまで束帯(貴族男性正装)、女房装束(十二単 貴族女性正装)で御三家(水戸、尾張、紀伊)をはじめ大名は大紋(だいもん 上級武家正装)を着用し時代考証はきちんと踏まえています。
史実に寄り添いつつ改変しているところがあります。倫子女王と松平定信(白河藩主、徳川家斉治世初期の老中)が同年代生に設定されていることです。その設定により倫子女王と松平定信との親近感を出しています。史実の松平定信は徳川家治・倫子女王の第一子・千代姫(ちよひめ)より後に生まれています。
将軍の地位を得るなら手段を選ばない残忍な松平定信の設定が『大奥 season2』の徳川治済(2023年版は女性に設定 2024年版は名前のみ登場)と重なります。部下に暗殺を命じて部下が厭になると始末するところが類似しています。
そして何より印象を与えたのが安田顕の田沼意次でヒール感が物凄く松下奈緒の田沼意次を見慣れたばかりに違和感と嫌悪感を覚えました。
※ 2024. 4. 14 追記
※ 2024. 5. 6 追記