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南方熊楠と早川孝太郎の交流

 『花祭』の著者として知られている早川孝太郎が南方熊楠に宛てた書簡が南方熊楠顕彰館に所蔵されているので、熊楠と早川の交流は以前から気になっていたが、両者の交流を紹介した論文に濵岸宏一「早川孝太郎と南方熊楠との出会い」(『熊野』第143号(2012年))があり、早川の書簡の翻字もこの論文に掲載されていることを知った。

 この論文によれば、早川は昭和7年11月22日に九州旅行へ行く途上で田辺を訪れて熊楠と面会したという。早川の書簡の中では、その面会した熊楠への御礼が述べられている。この書簡の中で個人的に興味深いのは熊楠が早川に対して岩田準一のことを話して早川は岩田に会おうとしていたという点である。結局、早川は金欠のため岩田に会いに行けなかったが、熊楠の話から同好者(研究者)ネットワークが広がろうとしていたことが伺える。その後、早川は岩田と会う機会があったのだろうか。

 ところで、濱岸論文中で引用されている早川の回想によれば、早川と熊楠との面会を仲介したのは岡書院を経営していた岡茂雄であるという。岡の信用があったからこそ早川は熊楠と面会できたのだろう。

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Theopotamos (Kamikawa)
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