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実は国会図書館デジコレで読める資料

 国会図書館デジコレは自宅に居ながら資料を読むことのできる貴重なツールであるが、どんな資料も閲覧可能な状態であったとしても利用者がそれを探し出せなかったり、アクセスできると知らなかったりすると意味がなくなってしまう。今回は、私が最近国会図書館デジコレで閲覧できることを最近知って驚いた資料を紹介していきたい。これらは私が知らなかっただけで多くの方々はすでに知っていらっしゃるかもしれないが、一部を私のTwitterに投稿したところ知らなかったという方もいらっしゃったので、取り上げる必要性も多少はあるだろう。

①『日本蒐書家名簿』(日本古書通信社, 1938年)

 私がこの本の存在を私が知ったのは、『昭和前期蒐書家リスト 趣味人・在野研究者・学者4500人』(トム・リバーフィールドさん編集, 2019年)(以下、『昭和前期蒐書家リスト』と記載する。)を読んでいた時であった。(注1)『昭和前期蒐書家リスト』は、趣味人・蒐集家に関連する様々な名簿をまとめてリスト化した、特に謎の人物を調べる際に非常に便利な本であるが、その中ひとつの名簿が『日本蒐書家名簿』である。この名簿の特徴のひとつは、『昭和前期蒐書家リスト』に収録されている他の名簿と比較してはるかに多くの人物が載っている点である。私は長らくこの名簿にアクセスする方法は『昭和前期蒐書家リスト』しかないと思っていたが、少し前に実はこの名簿が国会図書館デジコレで読めることを知った。

 『日本蒐書家名簿』は、『昭和前期蒐書家リスト』で読めるのでウェブで読めなくてもよいのでは?という意見もあるかもしれないが、この名簿は都道府県ごとに掲載されているため地方ごとにどのような人物が載っているかを確認したい場合に利用できる。『昭和前期蒐書家リスト』は各人物が五十音順に掲載されているので、地域ごとに確認することは難しい。そのため、『日本蒐書家名簿』もウェブで閲覧できるのは非常にありがたい。

②『変態十二史』(文藝資料研究會)

 以下のブログによると、変態十二史シリーズは、エロ・グロ・ナンセンスな本の出版に深く関わっていた梅原北明が企画、文藝資料研究會が出版していたシリーズである。このシリーズに関しては、国会図書館デジコレの図書館限定配信で閲覧できることは以前から知っていたが、実は一部が自宅で閲覧できることを最近知った。2021年7月10日現在、シリーズ中の以下の本が図書館配信限定でなくとも閲覧できる。

『変態人情史』井東憲 「変態十二史」第4巻

『変態崇拜史』斎藤昌三 「変態十二史」第9巻

『変態作家史』井東憲 「変態十二史」附録 第2巻

図書館限定配信ですべて閲覧できるものの、外出しにくいご時勢であるため自宅で閲覧できることにこしたことはないだろう。

 ところで、気になるのは、斎藤昌三の著作も閲覧可能なことである。斎藤は没年が1961年であるため、私は斎藤の著作は閲覧できるとしても図書館配信限定であると理解していたが、閲覧できる著作、できない著作の違いは何であろうか。

③『アチックミユーゼアム彙報』、『アチックミューゼアムノート』

 アチック・ミューゼアムは渋沢栄一の孫である民俗学研究者・渋沢敬三が主宰していた研究機関で、『アチックミューゼアム彙報』や『アチックミューゼアムノート』はここから定期的に発行されていた本であるが、最近ウェブで閲覧できることを知った。(ただし、一部は著作権の関係からか図書館配信限定となっている。)この本にアクセスするのは難しいと思っていたが、デジコレで読めるという情報を知っていれば自宅すぐに読むことができる。余談だが、アチック・ミューゼアムの出版物に関しては、以下のウェブページで紹介されているので、このページと併せて使用するのがよいと思う。

 私が今さら言うまでもないかもしれないが、以上のように図書館配信を含めなくとも国会図書館デジコレで閲覧できる資料は意外と多い。図書館限定配信を含めるとその範囲は広くなる。自分の読みたい資料や本がある場合、貴重な本だからという理由で最初からあきらめるのでなく取りあえず検索してみようの精神が大切であると思う。このようなご時勢だからこそ国会図書館デジコレを有効に使用していきたい。

(注1)この本の有用性に関しては以下の記事を参照。


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