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愛知県起町で発行されていた演芸趣味誌『梨園』

 先日、以下の記事で紹介した平井蒼太が発行していた雑誌『雑学』第一冊に「寄贈図書」の一冊として『梨園』という雑誌が紹介されていた。この雑誌のことは知らなかったので、日本の古本屋で調べてみると出品されていたので購入した。以下に書影と書誌情報を紹介していきたい。私が購入したのは是水追悼号である。

書名:梨園 是水追悼号(守田勘彌号)
大きさ:約24.4cm×約16.8cm、和装本、謄写版印刷
印刷:昭和8年4月1日
発行:昭和8年4月15日
編集印刷発行者:松岡一男 愛知県起町三條
発行所:みどり屋 ※上記住所と同じ
頁数:66頁

森田家略系譜(未定稿) 秋葉芳美
森田座略年表 松岡一男
思ひ出 坂東しうか
勘弥丈 松岡一男
私の勘弥観 三好米吉
印象づけられた勘弥 礒部鎭雄
亡き畏友 守田勘弥兄の憶ひ出 秋葉芳美
勘弥新作上演年表 松岡一男
表紙 梨園は中村鴈治郎
題字 守田勘弥は坂東しうか
勧進帖 食満南北
漫画 岡本一平
口絵 松田青風
解脱 宮尾しげを
句七つ 川尻清潭

表紙
目次
奥付
宮尾しげを画
食満南北画
岡本一平画?

 この号は十三代目守田勘彌の追悼号である。雑誌名は「是水追悼号」であるが、編集後記に「第一号を御送り申して早やくも半年になります」とあるので、この号は第二号であることがわかる。趣味人である三好米吉(注1)、礒部鎭雄も投稿しているのが興味深い。

 個人的に気になったのは発行者である松岡が愛知県起町三條に住んでいたという点である。起町三條は私が総目次を作成した『土の香』を発行していた加賀紫水が住んでいた地域である。松岡は加賀の『土の香』にも以下のように何度か投稿している。

第7巻第3号 石上祭
第9巻第2号 福地山の若水
『百人一趣』上巻 歴史

これ以外に以下の記事で紹介した楳垣実編『加賀紫水翁記念誌』(蝸牛工房、1952年)に「加賀兄」という文章を投稿したが、紙面に限りがあるため割愛したということが編集者の楳垣によって述べられている。両者はおそらく顔見知りであったのだろう。

 「ざっさくプラス」で松岡の書誌を確認すると、『典籍趣味』第2輯(昭和12年4月)に「演劇関係の創刊号雑誌抄(上)」、第4輯(昭和12年10月)に「演劇関係の創刊号雑誌抄(下)」を投稿している。松岡の主な関心は演劇であったようだ。

(注1)三好米吉についてはKokeshi Wiki様が詳しい。

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