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風俗研究者・平井蒼太の発行していた『麻尼亜』の印刷所は?

 拙noteで度々取り上げている風俗研究者・平井蒼太山本定一によって発行されていた『麻尼亜』だが、この雑誌は以下の記事で紹介したように石曽根廣作という人物が経営していた石曽根印刷で印刷されている。

この石曽根印刷は、拙noteではおなじみ(?)の加賀紫水の発行していた雑誌『土の香』の活版印刷化に協力、同雑誌の第16号より印刷を請け負っていた印刷所であるが、このことは以下の記事で紹介したことがある。

『土の香』の活版印刷化に協力をもちかけたのは川柳作家でもあった石曽根民郎(注1)であると思われるが、『麻尼亜』と石曽根はどのような関係があったのだろうか。平井は『麻尼亜』第一冊の編集後記「のをと」で以下のように述べている。

 山本氏と僕との共同労作といふ関係は、考へて見れば随分古いものです。殆んど十年一昔前に一度ありました。しかしそれからこつち、僕はすつかり怠けて終って、山本氏の精進振りを驚嘆してゐる計りでした。
 この雑誌は、病中の僕を慰めてやらうといふ、山本氏の厚情に基くものです。僕は只その事務を執るだけで、経費は全部山本氏(桃源堂主人)のお小使ひから出てゐる譯です。
 それから雑誌の印刷に就いては、石曽根民郎氏の犠牲的援助を、僕から感謝して置きます。(後略)

石曽根は『土の香』と同じように『麻尼亜』の印刷を援助していたようである。石曽根は、以下の記事で紹介したように宮本常一の発行していた『口承文学』にも投稿したことがあり、土俗(民俗)研究にも関心があったと言える。『土の香』、『麻尼亜』は土俗(趣味)関連の雑誌であったため、石曽根は印刷面で支援していたのだろう。一見接点がなさそうな両誌であるが、石曽根という共通項を持っているため、同じジャンルの雑誌であったと思われる。

(注1)石曽根民郎については、神保町のオタ様の以下の記事で略歴が紹介されている。


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