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方言研究者・橘正一の『土の香』執筆目録

 先日、以下の記事で紹介したように方言研究者・橘正一加賀紫水の発行していた『土の香』に投稿していた。この記事では、具体的なことを述べなかったので、橘が『土の香』に投稿していた文章を紹介しておきたい。橘の執筆目録については、松本博明「橘正一と雑誌『方言と土俗』」『岩手郷土文学の研究』第5号(岩手郷土文学研究会、2004年)に参考資料として掲載されているので、この執筆目録と比較もしてみたい。

※松本作成の執筆目録に記載があるかどうかを最初に○、×で示した。
※文章名の前に記載した数字は巻数と号数である。(例:第1巻第1号=1-1)

1929年
×3-6 岩手県飯岡村俗信集
×4-1 岩手県上飯岡のハヂクチ唄

1933年
○9-3 方言の洪水と方言の飢饉
○9-4 方言学最近の進歩
×9-4 モノモライの方言
○10-2 行者ニンニクのアイヌ語と東北方言

1934年
○11-2 ムカワリ(一周年)考
○11-3 おたち(飲食強制)考
○12-3 鬼ごっこの方言
○12-5 蝗の方言とアイヌ語
○13-1 三食と間食との方言
○13-5 痘痕の全国方言 ※松本の執筆目録では、「痘瘡の全国方言」となっている。
○13-6 私生児と私有財産の方言

1935年
○14-1 娼婦異名集
○14-3 あめんぼうの全国方言
○14-4 諸国幼な言葉集
○14-5 半挿と飯銅
○15-2 松の落葉
○16-1 稲村の全国方言
○16-2 竹馬と根木打の方言
○16-3 鳳仙花の全国方言
○16-5 「叱られる」の方言

1936年
○17-1 人体部方言総まくり
○17-2 永田吉太郎君を悼む
○17-5 曼珠沙華の全国方言
○18-1 方言叢書刊行会を組織せよ
○18-2  『土の香』所載方言資料目録
○18-3  「お浪とその母親」の方言

1937年
○19-1 長塚節の方言文学
○19-2 能田太郎君を悼む
○19-3 秋田雨雀氏の方言文学

1930~1932年の間に投稿がないのは、橘の発行していた『方言と土俗』に注力していたからであろう。『方言と土俗』廃刊後に『土の香』への投稿数が増えていることから、『土の香』が橘の主な投稿先のひとつとなっていたことがわかる。

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