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『土の香』を発行していた加賀紫水直筆の旅行記録『島崎藤村生地馬籠宿視察記』

 少し前に入手できためずらしい資料を紹介したい。雑誌『土の香』を発行していた加賀紫水は旅行が趣味でその記録を『旅のねごと』という旅行記として発行していたが、このことは私が発行した調査趣味誌『深夜の調べ』第1号で紹介した。以下に写真を掲載しておきたい。

表紙
見開き
旅行案内の葉書
参加者の写真
第2回の記録
奥付

 書名は旅行記録第二十八編『島崎藤村生地馬籠宿視察記』である。発行日は不明だが、昭和24年4月29、30日に開催された第1回、昭和31年6月3日に開催された第2回の記録が記述されているので、昭和31年6月近くに発行されたと思われる。この本は馬籠宿に関連する旅行案内、絵葉書、新聞記事などの紙物の貼り込み、参加者の記念の書き込み、旅行記で構成されている。加賀の旅行記は直筆のものであり、その内容は『島崎藤村生地馬籠宿視察記』にも貼り込みのある『旅行倶楽部』新年号(日本旅行倶楽部、昭和25年12月)に投稿されている加賀の「馬籠紀行」とほぼ同じで、この文章は第1回の旅行記録である。そのため、『島崎藤村生地馬籠宿視察記』は第2回の旅行後に第1回の記録を含めてまとめられたものなのだろうか。また、加賀直筆の旅行記は『旅行倶楽部』の原稿であるのだろうか。

『旅行倶楽部』新年号

 ところで、『深夜の調べ』第1号でも紹介したように、加賀は温古志叢書第7編として『馬籠視察記』(昭和24年)を発行しているが、今回紹介している本には昭和27年4月11日の新聞記事の貼り込みもあるので、『馬籠視察記』とは別であると思われる。『島崎藤村生地馬籠宿視察記』は第28編であるので、加賀は他の旅行記録も作成していたと考えられるが、他の旅行記録もどこかに残っているのだろうか。

貼り込みの新聞記事

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