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方言研究者・橘正一の『佐渡郷土趣味研究』に対する苦言
方言研究者・橘正一は以下の記事で紹介したように雑誌『土の香』(注1)を発行していた加賀紫水に苦言を呈したことがあるが、『土の香』と同じジャンルの雑誌であった青柳秀雄(秀夫)の『佐渡郷土趣味研究』にも不満を持っていたようだ。
礫川全次様のブログでは、橘が自分の雑誌『方言と土俗』第3巻第7号(1932年)の「方言雑誌合評会」で青柳に対して以下のように述べていることが紹介されている。
(前略)
E「方言には、新刊紹介は余り出ないね」
C「新刊紹介では、方言と土俗が、一番骨折ツてる」
B「近頃では、地方雑誌でも、大抵、新刊紹介をやツてゐます」
C「昔の寄贈御礼が進化したのだ」
E「今でも、寄贈御礼ですましてゐる所が多い」
D「佐渡郷土趣味研究の寄贈御礼には閉口するね。古本屋の販売目録まで並べて、二頁も三頁も取ツてゐるんだもの‥‥‥‥」
C「青柳〔秀雄〕さんは目録が好きなのだらう」
D「蒐集家だ」
(後略)
橘は『佐渡郷土趣味研究』に寄贈御礼のページ数が多いことを批判している。確かにこの雑誌は寄贈御礼が充実している。もっとも、これは後世の私たちにとっては喜ばしいことであるが。
また、『佐渡郷土趣味研究』第6輯(1930年)の読書投稿欄である「通信室」では、橘は「御誌に「モクロク」と「ペーヂ」をおつけ下さい。それから子供の言葉をあつめて下さい。」と投稿している。目録については、この号から付けられているが、橘の意見が反映されたのだろうか。また、ページ数は付けられたのだろうか。
(注1)加賀の『土の香』の詳細は、私が総目次を作成して調査趣味誌『深夜の調べ』第1号に投稿したのでそちらを参照。
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