震災でコレクションを失ったけど諦めない郷土玩具蒐集家・武藤喜邦
以前以下の記事で趣味誌『加良久利』を紹介した際に大日本趣味同好会の同人のひとりに武藤喜邦がいる。記事の中で武藤の蒐集分野に関して、蒐集家名簿『和漢楽(わからん)』に載っていると述べたが、その部分を再掲しておく。
『和漢楽』では、武藤の蒐集遍歴以外は述べられていなかったが、先日より国会図書館デジコレの個人配信の対象となった『郷土秘玩』第1巻第2号(郷土秘玩社、1932年5月)の「愛玩家の蒐集内容」という欄に武藤のより詳しい経歴が載っているのを見つけたので、以下に引用してみたい。
武藤は1887年7月27日生まれであり、長唄や清元の出版をしていた人物であったことが分かった。武藤が編集した『長唄稽古本表紙絵集』(1932年)は『郷土秘玩』と同じくデジコレで自宅で読める。この本は過去の長唄の稽古本の表紙を集めて本である。
興味深いのは、武藤は関東大震災で今まで蒐集したコレクションを失ってしまったにもかかわらず、蒐集を再開したことである。特にコレクション焼失の原因となった震災の記念物を蒐集を行っているのは驚きだ。私の感覚では自分のコレクションがなくなってしまったらショックで止めそうであるが、武藤の七転び八起きの蒐集精神は見習いたいところだ。
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