記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

「シン・ゴジラ」YOUは何しに日本へ?

以下、ネタバレを含みます。



海外では全然ウケなかったらしいですね。どういう触れ込みで宣伝したんでしょうか。モンスター映画? パニック映画? ジャンル分けがすごく難しいですが、わたしは災害コメディー映画だと思っています。非常事態が起きてみんな真面目にやっているのにときどき滑稽になってしまう。笑いと災害が同時に起こっている日常。

こんな「日本」って感じの映画、他にないと思います。非常事態が起きたときコピー機の搬入から始まり、とにかく会議、会議、会議。まだ被害に遭っていない市民は呑気に写真撮っているし、宅配ピザも頼む。もっとも威力の高い攻撃は米軍頼みで、最終リミットもアメリカの核攻撃。折り紙が重要なヒントとなっている。クライマックスでは東京駅を背景に爆弾を積んだ電車で突撃する。そしてゴジラのモーションアクターは狂言師。ザ・日本です。

役職や地名のテロップが多過ぎてもはや読めないのですが、これは全部を読ませるつもりはなくて、情報の多さで笑わせようとしているのだと思います。意味わからなすぎるとだんだん面白くなってきませんか? わたしはときどき本屋さんで知らない長編マンガの真ん中あたりの巻を手にとってあらすじを読むことがあるのですが、全然意味わからなくて面白いのでおすすめです。かっこいい用語がたくさん出てくる「BLEACH」などのマンガほど良いです。

わたしは小さい頃ゴジラの映画が好きでよくビデオで見ていました。初めて読めるようになったカタカナも「ゴジラ」でした。4歳とか5歳くらいだったと思います。ちょうどそのときの記憶があるのですが、ビデオの冒頭で赤字でバーンと「ゴジラ」と表示されたとき、ひらがなは読めて濁点のルールは知っていたので、

「◯゛◯゛◯・・・いや、この場面で出る文字、ゴジラ以外になくない?」

と気づいてそこから少しずつカタカナを読めるようになりました。それくらい身近でした。

今作で、蒲田から上陸したゴジラは町を破壊しながら進んでいきますが、頑丈とはいえ、動物ならもうちょっと空いている場所を通ると思います。マンションに正面から体当たりしてまでそこを通るというより、実際は建物と建物の間を通ろうとして結果的になぎ倒してしまう感じではないでしょうか。うちの猫を見ているとそう思います。今回のゴジラは尻尾が長いところとか猫ちゃんみたいです。尻尾を立ててゆらゆらさせながら歩いてくるので、上機嫌でかまってほしいのかもしれません。

這いずる動きから歩くようになり立ち上がったとき、主人公は「まるで進化だ」とゴジラの変化を受け入れていますが、たぶんポケモンが前提知識にあるから受け入れられるんでしょうね。それかデジモン。普通は変身と言うと思います。

主人公の内閣官房副長官、異様に若くないですか? そして人間味がない。物語上しょうがないのですが、彼の直感は常に正しく、まるで未来が見えているようです。人間性を捧げて未来視の能力を得たのでしょうか。「出世に興味がない、政治力がない」と同期?から言われる場面がありますが、あの若さで国の上層部にいるの、ゴリゴリに根回しして出世しまくった結果じゃないですか? プライベートが一切不明なのでどういうご家庭出身かわかりませんが、10年後に総理になろうと考えているということは政治家のおうちの出身なんですかね? それとも一切の世襲なく、身ひとつで総理を目指している?? 立候補して街頭演説とかしている矢口、あまり想像できませんが、意外とそつなくこなしてしまうのでしょうか。

矢口蘭堂。音の響きが碇ゲンドウと似ています。もし日本に来たのが使徒ではなくゴジラだったら、というパラレル世界の碇ゲンドウなのかもしれません。

おじさんたちの会議中心の冒頭を経て、各界から寄せ集められた癖強の対策チームが出てきたあたりから物語が動き出します。それまで政治家のぼそぼそ喋りを俳優がセリフとして喋っている違和感があったのですが、対策チームの人たちはもはやキャラクター化している(アニメの登場人物っぽい)ので芝居がかってオタクのような話し方が逆に馴染んでいます。セリフが全部難しくてしかも早口なのでめちゃめちゃ大変そうです。

そして石原さとみも。あんなに日本人顔のクォーターいるのかな。

英語を話す石原さとみ、良いですよね。わたしは定期的に女優に憧れて外国語を勉強するマイブームが来るのですが、石原さとみみたいになりたくて英語を勉強していた時期もありました。

結局石原さとみはZARAに行けたのか?

映画はなんとかゴジラ凍結作戦が成功してめでたしめでたしと思いきや、臨時の大臣は責任をとって辞職(何の??)、アメリカの核攻撃はあくまで一時停止だし、ゴジラの尻尾をよく見たら小型のヒト型ゴジラがいっぱい出てきそうになっている、というビターな終わり方でした。ゴジラが持つ核を分解する新しい元素は、抑止力になるどころかきっと世界に新しい火種を生むでしょう。凍結したゴジラと暮らす日常と、そんな国でトップを目指す矢口の戦いは始まったばかりです。最後の石原さとみの「好きにすれば」というセリフは、教授が船に残したメッセージのようですね。

コメディーから始まった話ですが、後半はハラハラしながら入り込んで見てしまいました。石原さとみの英語かっこいいと思いながらも、今わたしは結局、長澤まさみのようになりたくて中国語を勉強しています。

好きにすればいいのです。

いいなと思ったら応援しよう!