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頭の中を空っぽにして睡眠の質を上げる

仕事上、外国人サッカー選手との交流があります。異国での生活、言葉や食事、文化や風習まで、母国とは全く異なるという状況下は想像以上に「キツい」 10年ほど前、2年間イングランドで生活した経験から、彼らのストレスは嫌というほど理解できます。

「眠れない」

という悩みを打ち明けられたことがあります。サプリメントを服用することで改善できるかもしれないと相談されても、ドーピング問題があるので易々と許可できません。薬剤師やクラブとの綿密な打ち合わせが必要。場合によっては署名をして自己責任を明確にする必要もあります。ひとつひとつは小さいストレスかもしれません。ですがこれが無数に降り掛かってくれば「眠れない」日も出てくるでしょう。

こんな実験があります。「翌日にやるべきこと」を、寝る前に5分間でまとめた被験者は、いつもより「やるべきこと」を思い出しやすくなったり、平均で約9分間、眠りにつくまでの時間を短縮できたりしたことが報告されています。

たった9分かもしれませんが、実はこの数字、睡眠薬を使ったときの改善レベルと大差ありません。夜中にうまく眠れない人は、「翌日への不安感」がその大きな原因のひとつ。翌日のタスクがはっきりすると、荷物をおろしたような「ほっとした」気持ちが芽生えて、ストレスが激減するからです。

プロのアスリートは、激しいトレーニングによって興奮状態が続き、目がさえてしまう、という人もいます。現役中はうまく眠れなかった人が、引退後は嘘のように快眠の毎日を過ごしている方と話したことがあります。上述したような方法が、身体的な興奮状態を抑える効果があるかどうかは定かではありませんが、心理的ストレスの解消に一定の効果はあるかもしれません。

ポイントは「書き出すこと」で、書き出さずに「頭の中で」To Doリストを回さないこと。思い出そうとすることで脳が覚醒してしまうからです。頭の中にあるモヤモヤを外に吐き出して、心理的安心を手に入れることで熟睡できるようになります。

集中モード」とは、情報に意識を向けて、必死で知識を取り込もうとする状態。一方「緩和モード」は、脳がリラックスして、頭の中にある複数の情報を結びつけようとする状態です。「やるべきこと」を書き出すと、緩和モードが駆動して、バラバラだったタスクがつながって、スケジューリングや効率化が図れるようになるなどの応用につながります。

瞑想までいかずとも、目を閉じて休むことを習慣化すれば、周囲の世界に意識を向けることなく、脳に余裕が生まれます。「新しい情報を取り込まなくていい」という安心感がストレスを軽減させます。

久しぶりに「超効率勉強法」を引っ張り出してきてまとめてみました。また明日、選手に教えてあげようと思います。自分自身にとってもいい振り返りになりました。

久保大輔




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