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相手の話題に対していきなりメタ視点の質問をするのはちょっとうざい

私は物事の起源・原因に興味を持ちやすい。
だからこそよくやってしまうのが、相手の話題に対していきなり俯瞰したような視点から質問するということ。

この悪癖によってこの前も彼女を不快にさせてしまった。
彼女には愛犬がおり家族同然に可愛がっているのだが、そんな彼女と散歩をしているときに、飼い主に連れられ散歩しているミニチュアダックスフンドが通りがかった。犬好きの彼女は当然頬を緩ませ、かわいいの4文字を文字同士の境い目が曖昧な感じで口にした。
その瞬間私の口から出てきた言葉は最悪なものだった。
「何で人って犬を飼うようになったのかな?」

彼女は優しいから、「ん〜何でだろうね?」ととりあえずは返してくれたが、その声色は明らかに半音下がりのフラット気味だった。

あのときの彼女の気持ちを勝手ながら推測するが、
「いや、今話したいのはそういうことじゃないから。まずは一旦犬がかわいいということについて短くてもいいからラリーしようよ。ペットの起源とかいう、本屋の新書コーナーに並んでいそうな話題にはあとで付き合うからさ」とかだろうか。

もしこの推測が正しいのなら、痛いほど彼女に同感する。
まずは彼女から送られてきた「犬がかわいい」という球を無視することなくしっかり打ち返した上で、それでも気になってしょうがなければ「ペットの起源」について投げかけてみれば良い。
こんなのコミュニケーションのキホンのキじゃないか。
小学校の「生活」の時間に学ぶようなことを、この年になって改めて考えさせられるとは思ってもみなかった。

相手の話題に対していきなり「なぜ〜?」で返すことは、別の問題もはらんでいる。
それは「なぜ?」という問いかけは、批判的な印象を与えてしまうことが往々にしてあるということだ。

外国人への街頭インタビューなどで、
“Why did you come to Japan?”
という質問を耳にすることがある。
あれは聞く人によっては「なんで日本に来たの?(お国に帰ってください)」と聞こえてしまうらしく、それを防ぐためには
"What brought you to Japan?"(直訳:何があなたを日本に連れて来ましたか?)とか、
"What made you come to Japan?"(直訳:何があなたを日本に来させたのですか?)
などの表現を使うと良いらしい。

日本語ではなく英語の場合でも、このような回りくどい表現を使った方が良いということは、「なぜ?」という問いかけが少なくとも2つ以上の言語や文化圏で共通して、批判的印象を与え得ることを示しており、それほどまでに「なぜ?」の「感情逆撫で力」が強力だということである。

「なぜ?」は取扱注意の代物だ。
ある時には物事の存在意義を揺るがせ、ある時には起源や原因への純粋な好奇心を、他者への批判に変えてしまう。

私は今日も「ナルホドネ」や「ワカル」という布で、ナゼというナイフを包む。

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