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急な雨の一幕

急に雨が降ってきた午後。

駆け込むように一人のお客さんが入ってきて。

僕はいつものように出迎え。

注文を受け、ドリンクを作り、お会計をして、ありがとうございました。

で、終わるはずだったのに。

「雨が降ってるから中で飲んでもいいですか?」と。

僕はこれが物凄い嫌で。

知ってる人でもぎりだけど、知らない人だと受け入れられないのです。

まず、僕が人見知りだという事。

数ターンの会話なら定型分で済むのでバレないのですが、フリートークとなると途端に疲労が倍増するのです。

「どれぐらいやられてるんですか?」「何でカフェを始めたんですか?」

とりあえずで話すには面倒な会話で。

僕から何かを問うのも気分が乗りませんし。

「Jesus」と、仏教国無宗教の僕が口に出してしまいそうになるのです。

次、いけると思って聞いてくるのってどうなんだろうと。

これは分からない、聞いてないから。

でも、多分いける思ってる節があって。

「雨の中、外に出されないだろう」

こんな心の声が見え隠れしているのです。

それがね、ずるくないかと。

断ったらまるで僕が人非人みたいじゃないか。

聞いてはいるけど答えが決まっているのはフェアではない。

最後、注文する前に聞いてくれたらと。

というか、駆け込む場所を間違えないでほしいんです。

雨の日に、テイクアウトのコーヒー屋に駆け込んでどうするよ。

いや、うちの事を知らず、たまたま通りかかったのだとしたら、仕様がないんだけど。

明らかにうちが目的地だったからさ。

そういう時は、大人しく晴れるまで待ちましょう。

雨の日に行く所は、屋根と席があるコーヒー屋です。

お店も広いほうがいいですね。長居しても問題ないですし。

3.7坪、カウンター越しに僕がいる状況は、あなたも楽しくないはずです。

愛想のない店主の「いつまでいるの?」というプレッシャーの前では、きっとラテも美味しくないでしょう。

だから、間違えないで。

雨の日に行く所は、うちではない。


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