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生産性とかタイパとか

お友達のパン屋さんが、手間暇かけて仕込みをした新作を発表された時、「ピスタチオの手剥きに比べたらマシだな」と書いていて。

同業者ほど、僕の手剥きに感銘を受けるのです。

いや、違うな。

呆れるのです。

手間暇かければ美味しくなるか。

それは分かりません。

そういった商品もあるでしょうし、パフォーマンスだと思う事もあります。

僕が時間をかけて剥いているのは、時間があるからで。

剥いてあるピスタチオを仕入れるぐらいなら、自分の時間を使ったほうが安くすむからです。

時間の切り売り以外の何物でもないんですが、僕はけちで。

タクシーを使う事は滅多にないし、一駅ぐらいなら平気で歩くし。

世の中、生産性の向上、タイパだなんて流れですが、僕は疑問で。

あなたは、一分一秒を争うほど、忙しくしてるの?

ピスタチオを剥いてる時に言われた事があります。

「外注すれば自分の時間を使えるのに」と。

いやいや、分かってる。

バカだと思うな。

言っとくけどな、この仕事を本気で頼んだら、ボランティアでやってくれる人もいるわ!

「自分の時間を使える」

タイパ思考、効率至上主義の人が言いがちなんですが、自分の時間て何なの?

具体的に教えてほしくて。

あなたは自分の時間に何をしているのか。

それを箇条書きでいいので、教えてほしいんです。

どうでしょう?

大層な事をしてるのかな?

どうせ、ショート動画を見るか、ネットフリックスを見るか、マッチングアプリでも覗いてるだけでしょ?

ちょっと悪意があるな。

多分、僕に「自分の時間を」って言ってくる人は、勘違いをしていると思っていて。

忙しいと思ってないかな?

もしくは、

売れてるお店だと。

どちらも不正解です。

暇をしてるし、そこまでは売れてない。

だから、時間があり、その時間を使ってピスタチオを5時間とかかけて剥いてるんです。

誰かにやってもらうとか、コストが高くなっても効率の良いものを仕入れるとか。

そうすれば時間は生まれますが、売上は増えません。

僕の暇な時間が増えるだけで、それはお店にとってあまり意味が無いんです。

剥きながら動画を見るか、両手を置いて動画を見るか。

違いはそれだけ。

それなら、自分で剥いてたほうが精神衛生上よくて。

さぼってる感がなく、コストも下げられるし。

効率や生産性を意識しなければいけないほど、忙しくない。

これに尽きるのです。

あと、僕が剥いてる現場を見た人が、ニヤニヤするという副産物もあって。

嗜虐性というものを、人は誰しもが持ちうるんだと、発見がありました。

嗜虐性というより、ライブ感か。

丸亀製麺の製麺や茹でる所を見せながら並ばせるのと一緒です。

ピスタチオ剥きはあまりにも絵力が無いけれど。

湯気とかでないかな。


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