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『笑点』に見る後期高齢者3師匠と40代若手参入の件

先週は2月の第1週目で、テーマは『キャリア』関係のつもりでしたが、『吉本新喜劇とルッキズム』の話題をご紹介しました。
『キャリア』にこじつけるならば、池乃めだかさんが80歳を迎えつつも現役第一線で頑張りながら、『多様性』の時代をどう乗り越えるかを考えていらっしゃる、というお話しでした。

年初のブログで、週毎のカテゴリーを下記のように宣言してみました。

(第1週)キャリア・定年・週末起業
(第2週)音楽・ギター・楽器
(第3週)オヤジのファッションウォッチング
(第4週)グルメとお酒のお話し
(第5週)クルマ関連とノンジャンル
※日次更新を週次更新に変更した際のカテゴリー目安

実際には1週間も空くといろいろ書きたいことも出てくるわけで、今日は第2週『音楽』関連の週ではありますが引き続き『キャリア』関連のお話しをご容赦いただければと存じます。

さて、日本テレビの長寿番組『笑点』の2/5(日)の放送で、昨年に亡くなった三遊亭圓楽師匠(享年72歳)の空き枠を埋める新レギュラーが発表されました。

ネットでの大方の予想通り、『今、最もチケットが取れない落語家』との枕詞まくらことばを持つ春風亭一之輔さん(45)が大喜利に登場したことを受けて、ネット民からは、
『やっぱりな、想定どおり!』
『桃花ちゃんの方がよかったが、一之輔なら納得だな』
といった声が多数を占めたように思います。

笑点 2023/2/5(日) 放送分

『桃花ちゃん』とは、春風亭小朝師匠(67)の秘蔵っ娘、蝶花楼桃花ちょうかろう ももかさん(41)。
2017年頃の春風亭小朝一門会で、当時『ぴっかり』という名跡を名乗る彼女の一席を観たことがありますが、それはそれはチャーミングで素敵な女流落語家。昨年2022年春には真打昇進を果たし、蝶花楼桃花に改名されています。今回の後任予想でも、一之輔が『本命』であるならばさながら『対抗』と目される存在でした。
『笑点・大喜利』初の女性レギュラー登場!ともなれば、昨今話題の『ジェンダー平等』にも貢献し、笑点が『多様性ダイバーシティ』の一歩を踏み出す契機にもなるかも!と、世間の期待は大きかったわけです。

MATENROU BLOG 2023/2/6

その発表の直前に、私は次のような批判的な私見を Facebookに投稿しました。

2023/2/5(日) 筆者Facebook

補足するならば、
小遊三師匠(75)のエロネタ。
女湯覗き、賽銭泥棒、露出狂…
明らかに昨今のコンプライアンス観点からは眉をひそめる発言のオンパレード!
そして得意技は『いない、いない、アランドロン!』
殆どの世代が観たこともないいにしえのフランス人二枚目俳優…(苦笑)

次いで、林家木久扇師匠(85)のおバカキャラと痴呆ボケ老人ネタ。
『いやん、ばっか~ん、うふふ…』のレコード発売から45年、まだ歌い続ける。
骨折して以来、10分以上の正座ができず、座布団の山を前に椅子に腰かけての出演。
『答えは思い付かないけど取り敢えず手を挙げてみた』がウケたのに味をしめて多用中。

そして好楽師匠(76)の貧乏・ヒマキャラ。
手帳のスケジュールが真っ白だの、高座は閑古鳥が鳴いているだの、観客は居眠りだのと自虐ネタを呟きながら、回答意欲も薄くスベリを連発…
新参の桂宮治みやじ(46)から強引に『チームマカロン』(着物の色合いから命名)を組まされるも、うまく乗り切れず…

小遊三・好楽・木久扇師匠(dwango.jp,news 2020/5/18)

こうした現状に苛立ちを覚え、それぞれ息子世代の若手に席を譲りなさい!と苦言を唱えたわけです。

ところがこの投稿から1週間を経て…、
一之輔(45)の出演2回目の笑点を見終わった今、また違った考えを持つに至りましたので、その辺を書いてみます。

ときに、時代のキーワードはリンダ・グラットンの著書を持ち出すまでもなく『人生100年時代』。
サラリーマンが60歳で定年退職し、隠居して安泰な年金生活を享受できる時代は終わりを迎えつつあります。
人は自身の寿命が尽きるまで、少なくとも健康で他人様の世話にならずに動けるうちは自身の食い扶持を稼ぎ幸せな余暇を楽しむ為に、働き続けなければなりません。

働き続けるといっても簡単ではなく、自身の経験値やスキルとは全く異なる分野で単純作業のアルバイトに甘んじている定年後シニア層のなんと多いことか…

プロティアンキャリア理論では、所謂いわゆる『生き甲斐(イキガイ)』について、次のように整理しています。
●自分が、その分野を好きで…
●それが得意で…
●社会からの需要があって…
●そしておカネになること
その4象限の交わるところ、『好きで得意で、社会ニーズがあって儲かる仕事』こそが自分の『イキガイ』だと言われています。

その意味では、75歳を過ぎた『後期高齢者』の噺家さん3人は、ご自身が好きで、得意で、社会ニーズがあって、ギャラが貰える仕事を安定的に続けていらっしゃるのですから、こんなに幸せなことはない。まさに、これからの働き続けるシニアのモデルケースとも言えます!
(ただしプロティアンキャリア理論では、自己を知ること(アイデンティティ)と環境適応力(アダプタビリティ)が必須であって、高齢師匠陣が現代社会にどれだけアダプトできるか?は難しい問題かも…)

先ほど挙げた3師匠のキャラクターも、あくまで笑点という番組の中での設定です。その意味では、先週書きました吉本新喜劇の劇中でのキャラ設定と通じるところがありますね。

故・圓楽師匠は腹黒キャラ・友達いないキャラで通していましたが、その実、誰よりも思い遣りがあって交友が広いという事実は万人の知るところ。
ヒマキャラの好楽師匠も、圓楽亡き後の三遊亭一門をしっかり率いて、立派に大トリを務めています。

在りし日の三遊亭圓楽師匠と、好楽師匠(サンスポ 2022/5/27)

ただその一方で、笑点で定着したキャラが本業の高座の方にヘンな影響を与えることもある。落語をする姿を見た時に、あれ?テレビの雰囲気と違う!とか…
その意味で、昨年加入した桂宮治(46)と今回加わった春風亭一之輔(45)の2人の若手が、どういう掛け合いでどんなキャラを作り上げていくのかは、大いに興味あるところです。

長くなりましたが、ついでに、今回の新メンバー予想ダービーで『対抗』と目されながら『本命』に敗れ去った蝶花楼桃花(41)さんについて、古舘伊知郎さん(68)と、立川志らく(59)さんがコメントした記事がありましたので、転載しておきます。

「初めまして古舘さん」という、初対面のゲストとトークする企画(YouTube)。そこで桃花が登場すると、古舘は「あっー!笑点絡みで見たことあります」と、大喜利新メンバーに取り沙汰された件に触れた。
実際には、落語家・春風亭一之輔が選出。古舘は、桃花がニュースで取り上げられているのを見て「失礼ですが、ダミーかなと思ったんです。僕はその鉄則を知ってて、あまり見てなくて。僕も紅白で司会やるときに前年に『古舘で決定』ってスポーツ紙で出たんです。それでダミーだなと思ったんですけど、次の年に指名されました」と自身の経験を交えて語っていた。
また、古舘は「笑点の伏線回収されますよ。あと10年後くらいに、いちいち女性司会者とか特段言われないで、普通に司会者としてね」と予言する。「笑点も紅白と一緒で、ああだこうだ言われながらずっと続いていくと思うんですよ。10年後、桃花さんが普通に司会者決定。イヤイヤじゃなくて、それを望まないといけないですよ。思うは招くだから」とエールを送っていた。
スポニチANNEX 2023/2/10
(志らく師匠は)他にも候補として挙がっていた美人落語家・蝶花楼桃花にも言及。「私も大喜利に4回出演させていただいたんですけど、なかなか大変なんですよね。彼女が週一でやれるだけものはあるんだろうかと。もしダメになったときに、視聴者は残酷ですからね、彼女の活動にマイナスな部分が出てくるかもしれない。もっともっと、多くのお客さんをうならせるような芸人になってからでも遅くはないかなと思いますね」と語っていた。
スポニチANNEX 2023/2/7

どちらも、若手女流噺家への愛に満ち溢れたコメントだと感じました。
特に古舘伊知郎さんの言葉、
『それを望まないといけないですよ。思うは招くだから』
素敵なエールだと思います。

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