「サブウェイ」の復活が楽しみな件
「サブウェイ」といっても「地下鉄」ではなく、サンドウィッチチェーンのお話しです。
大好きなサンドウィッチですが、昨今めっきり店舗数が減って街中で見掛けなくなりました。
世界規模で申しますと、2023年現在でマクドナルドの約41,800店に対してサブウェイが約37,000店で業界2位。かつて2010年にはマクドナルド約32,700店に対してサブウェイ約33,700店と、展開店舗数世界一のチェーンにも輝いていた実績があります。
こと発祥地のアメリカでは、現在もマクドナルドの約13,500店に対してサブウェイが約20,600店と業界1位に君臨しています(2位はスターバックスの約16,000店)。
では我が国ではどうか?というと、1991年にサントリー㈱(現サントリーホールディングス㈱)が「日本サブウェイ㈱」を設立、1992年から「SUBWAY」の国内展開を開始。
2014年には、直営店とFCの合計で国内店舗数が 480店舗に達しました。
ただその後、米国サブウェイ本社の意向(1国1社の単独展開を認めない)によりサントリーとの契約を段階的に解消。2018年にはサントリーが日本サブウェイの経営から完全に撤退します。
そして米国サブウェイ本社による直営店の整理が進み、2019年に 221店、2023年には 178店にまで減少してしまいました。その流れで、冒頭の嘆きのとおり身近なところからサブウェイが消えていっています。
蛇足ながらサントリーグループは2016年、ハンバーガーチェーン「ファーストキッチン」の経営からも撤退し、「ウェンディーズ」に事業売却しています。両ブランドの店舗はダブルネームで展開中です。
SUBWAYという名称は、もちろん地下鉄ではなく、“Submarine Sandwich for Your Way(潜水艦型のサンドを貴方のお好みで)”の最初と最後の3文字ずつを取ったと言われています。
ご存知の方も多いと思いますが、そのオーダーは具材の種類や量までほぼオーダーメイドであり、それがサブウェイ・サンドウィッチの最大の魅力でした。逆に言えば、その面倒さこそが日本に定着しきれなかった要因にもなってしまいました。日本人は何かにつけ自分の好みを細かく主張することが苦手で、「セットメニュー(お仕着せの定食)」の方が注文がラクなわけです。
尤も、例えば新車を購入する時にはあれこれオプションパーツを悩む男性は多いし、ラーメン店でもそれぞれトッピングを楽しむ風潮はあります。とはいえやはり、マクドナルドを筆頭にことファーストフード店では圧倒的にセットメニューが支持され、せいぜいドリンクくらいしか選択する余地のないスタイルが主流なわけです。
ただ、キッチン内の作り手に関していえば、日本人ならではの指先の器用さとホスタビリティをもって、サントリー傘下時代にはサービス技術の世界大会で日本人スタッフが優勝したりもしています。
さてそんな感じで「瀕死」ともいえるサブウェイですが…
この度(2024年10月)、ワタミが日本国内でFC展開する契約を結び、日本サブウェイを買収しました。
これにより、ワタミが日本国内でサブウェイを独占的に展開できますので、米国本社が主張した「1国1社の単独展開を認めない」方針がまた崩されたことになります。
契約したのは渡邉美樹会長兼社長率いる、あの居酒屋「和民」チェーンのワタミです。
渡邉社長は、今後20年でサブウェイの店舗数を3,000店舗まで拡大する(ことを目指す)と発表したのです。現状の 178店からすれば約17倍!
私が推察するに、ワタミの狙いは2つありそうです。
その一つめは、サブウェイの強みである「野菜がたくさん摂れること」と、「油脂が少なくヘルシーであること」をうまく活用すること。加えて、自家菜園のさらなる拡張。
ワタミはサイゼリヤ同様に野菜の自家栽培を進めていますので、それをサブウェイ店舗で使えれば一気に規模拡大してスケールメリットが期待できる。
今一つには、居酒屋という揚げ物・不摂生なイメージに対してサブウェイのヘルシーなイメージを加えることによって、企業イメージの向上が図れそうなこと。
あと細かいことを言えば、系列居酒屋とサブウェイを近隣に出店することで、時間帯による繁閑差をバイトシフトでうまく効率化できそうかなとも…
あくまで素人である私個人の推察ではありますが、うまくいけばそんな勝算もありそうです。
いずれにせよ、この先数年、ワタミさんがどんなエリアにどんなピッチでサブウェイ店舗を増やしていかれるのか、楽しみにしたいとワクワクしております。