アンディ・デュフレーンは頑張って死んだ
はーい、テツガク肯定です。
映画、『ショーシャンクの空に』のネタバレ全開です。
苦手な方はお戻りください。
『ショーシャンクの空に』で印象に残る場面は多くありますが。
今回の話は映画の後半の場面。
アンディさんがレッドさんにこう言う場面です。
それから先の場面で。
この問題にレッドさんは答えます。
レッドさんの答えは『生きる』でした。
それでは――アンディさんの答えは?
この映画を観た当初の私なら前者だと迷わず答えたでしょう。
アンディ・デュフレーンは『生きる』を選んだ。
頑張って生きる事を。
ですが、今では疑問符です。
そして、こう思っています。
アンディ・デュフレーンは――頑張って死んだ。
なぜか?
それは映画中盤の場面にあります。
アンディさんがレッドさんに自分の仕事を解説する場面。
レッドさんはパイを食べている場面です。
ランドール・スティーブンス
とアンディさんが解説すると。
レッドさんは何者だと訊ね、アンディさんは――。
レッドさんは驚きながら言います。
その疑問にアンディさんは完璧に答え。
法には抜け穴があり、郵便で済む話だと。
スティーブンス氏は出生証明書も免許証も社会保険カードもあり。
仮にその人物を追いかけても、アンディさんが作った想像上の人物に行き着くだけ、と。
……もしかして、スティーヴン・キングさんこそが?
この世とは違うあの世から抜け出して来た、郵便で事を済ますスティーヴン氏?
仮にそうだとしても、全く驚きませんが。
すみません、話が逸れました。
それで、中盤で語られたランドール・スティーブンス氏。
中盤では書類上にしか存在しない名前だったのですが。
映画の後半では……。
そう語るレッドさん。
幻、幽霊、架空の人物。
アンディさんが作り上げた想像上の人物。
ある日、書類上の名前に影と重さが宿った。
中盤のレッドさんの台詞は未来予報。
このアンディさんの台詞に命が宿った。
レンブラント並みの悪さをしてみせた。
頑張ってアンディ・デュフレーンを殺して。
頑張ってランドール・スティーブンスに命を与えた。
今の私からすれば。
この台詞のアンディさんの答えは後者です。
アンディ・デュフレーンとして刑務所の中で生きるのと。
頑張って脱獄し、アンディ・デュフレーンとして死んで。
ランドール・スティーブンスに命を与える。
映画では語られていませんし、原作もどうかはわかりませんが。
世界にとって脱獄王はアンディ・デュフレーン。
ですから、アンディ・デュフレーンの名を探しても。
誰もランドール・スティーブンスの名は気にも留めない。
まさか、書類上にしか存在しない名前。
それに命が宿ったなど、そんなピノキオみたいな話を――。
信じるほど人は愚かではないから。
ペニーワイズさんがしかけたワナ並みに。
かなり品のいい仕掛けです。
さすが、アメリカが誇る、ホラーの帝王さんです。
それでは、また次の機会にお会いしましょう。
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