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デザインを学ぶ人におすすめする珠玉のSF5選

前回のエントリ、小島秀夫監督と伊藤計劃さんについてで、私が彼らから大きな影響を受けたことを書きました。そしてSF的な思考は「新しいデザイン」を生み出すのに大きな力になると信じています。ここでは、私が影響を受けた作品を紹介することで誰かに影響を与え、彼らのMEMEを伝えられたらと思います。

『1984』 ジョージ・オーウェル

“ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。

「ディストピア小説」の金字塔、1984。超監視社会における記述は、今や他人事とは思えない、現代に通じるところがあります。…

『夏への扉』  ロバート・A. ハインライン 

ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんな時、「冷凍睡眠保険」のネオンサインにひきよせられて…永遠の名作。

ハインラインの代表作。時間のトリックを使った冒険小説でもあり、恋愛小説。

『know』  野崎 まど

超情報化対策として、人造の脳葉“電子葉”の移植が義務化された2081年の日本・京都。情報庁で働く官僚の御野・連レルは、情報素子のコードのなかに恩師であり現在は行方不明の研究者、道終・常イチが残した暗号を発見する。その“啓示”に誘われた先で待っていたのは、ひとりの少女だった。道終の真意もわからぬまま、御野は「すべてを知る」ため彼女と行動をともにする。それは、世界が変わる4日間の始まりだった―

「情報素子」の発明と「電子葉」の発明で、超情報化が発達した京都が舞台。これも冒険ものであり、実は恋愛小説でもある。京都出身の筆者としては京都の描かれ方にも惹かれた。

『ヨハネスブルグの天使たち』  宮内 悠介

戦災孤児のスティーブとシェリルは、見捨てられた耐久試験場で何年も落下を続ける日本製ホビーロボット・DX9の捕獲に挑むが―泥沼の内戦が続くアフリカの果てで懸命に生きる少年少女を描いた表題作、9・11テロの悪夢が甦る「ロワーサイドの幽霊たち」など、日本製の玩具人形を媒介に人間の業と本質に迫る連作5篇。デビュー作『盤上の夜』に続く直木賞候補作にして、日本SF大賞特別賞に輝く第2短篇集、文庫化。

日本製ホビーロボット・DX9を中心に据えた短編集。最終章の『北東京のこどもたち』日本の団地が舞台となっており、都市・建築関係者には特におすすめ。

ハーモニー 伊藤計劃

21世紀後半、“大災禍”と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した―それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、ただひとり死んだはずの少女の影を見る―『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。

前回散々書いたが(まだ書き足りない)伊藤計劃さんの遺作。病気が駆逐されたユートピア。"空気を読む"ことで息が詰まりそうな日本。そこに襲いかかる集団自殺事件。サスペンスとしても一級品。すべての人に捧げる。

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