インドにおける代理出産の文化論 【読書録】:星3
【書評】★★★(読む人を選ぶが良著)
出版されてからもうすぐ10年経つから、インドはもちろんのこと世界的な風潮は大きく変化しているのかもしれない。
ただ、代理出産とはなにか、それがかつて、あるいは今現在もどのように運用されているのかを理解するのにはぴったりな著書だ。
値段は小説と同じくらい。ページ数は注釈を含めても50P程度と一晩あれば読み切れるだろう。
ただ、注意してほしい。本書は答えを教えてはくれない。正解へと導いてもくれない。出産の商品化のゆくえを示してなどくれない。
今回に関しては、持論は記載しないことにした。
一通り書いたところで、ネットにあげられる内容ではなくなっていた。
センシティブな事柄ほど、多くの賢い人々が、議論を交わす必要があるのだけどね。
少し考えたけど、やっぱり持論を書いていくことにする。
Twitterではかけなくなっていたことを書きたくて始めたnoteだからね。
ちょっとした思考実験だ。
日本で代理出産が合法化されたら誰が代理母になるだろうか?
絶対の条件として、若い、健康な、女性であるだろう。具体的には18-35歳で、身体疾患を有さない、女性。
現在の日本の社会通念を考えるに、積極的に代理母になりたい人は多くないだろう。むしろ差別的な扱いを受ける側になると思う。代理母って聞こえはいいけど、一部の心ない人からすると「女を売っている」のと同じだからね。
となると、普通の職には就けない人か、その莫大な報酬を目当てにする人。どちらにしても貧困層ということになるね。
普通の職につけない人となると、境界知能の人たちとか?
莫大な報酬を目当てにする人はたくさんいるけど、普通の職につける人はよほどのことがない限り『汚れ仕事』にはいかないと思う。
普通のOLや教師、警察官が風俗をやったとしても、10ヶ月も拘束される代理母はやらないよ。きっと。
境界知能の人たちでも、10ヶ月拘束されるのは嫌がると思う。顔が良かったり、スタイルがいいならソープで稼ぐんじゃない?
だから、そこでも稼げない人たちで、母体であればいい人が代理母になる(ならざるを得ない)状態になる。
でも、それによって社会から求められるし、多額の報酬が手に入る。彼女らはもしかしたら幸せなのかもしれない。コンビニバイトでも疎まれ、でも障害者手帳で生きていきたくないと思っている彼女らには、この仕事はそれこそ福音なのかもしれない。
まあ、それをみている自称意識高い人権派はなんて言うかはしらないけどね。
あるいは、こんなストーリーも考えられる。
代理母を崇高な職業に祭り上げるんだ。
具体的な方法はともかく、日本国民全員に少しずつ代理母は素晴らしい行為だという洗脳を行う。「新しく革新的な技術」「困っている人を助ける素晴らしい行為」「これからの流行」。なんでもいい。細かい方法は広告代理店様がなんとかしてくれるだろう。
そうして、国民の多くに代理母という宗教が浸透すれば、より一層ハードルが下がるよ。
かつてフリーターが流行ったように。かつてタピオカブームが流行ったように。
ただ、これを促進するのは現実的ではないよな。
ここまで大規模なことができるのは個人じゃない。政府レベルになる。
政府レベルで代理出産を推めるメリットがない。
出生数の増加なら、産める人に産ませる方が早いし有効だ。
もちろん、我が国の政府は少子化を進めたいようなので、どちらにしてもあり得ない話だが。
もっとあり得ない話だと、奴隷という選択肢がある。
笑わないでほしい。俺は大真面目だ。
今、ロシアーウクライナ戦争はマリウポリ占拠まで進んだ。今後は知らない。ただ、ロシアは占拠したウクライナ人を樺太に移住させるなんて話も出ている。本当に21世紀かと問いたくなる。
だが、民族浄化も考えるなら、ウクライナ人女性にウクライナ人の子供を産ませず、ロシア人の子供を産ませる方法もないわけじゃない。
そう、民族浄化だ。
日本はほぼ単一民族単一国家である。アイヌや琉球人、在日朝鮮人もいるが、基本的には日本人だ。だから、多民族国家に比べると単一民族であることに抵抗は少ないだろう。俺は、日本で絶対に民族浄化が起こらないとは断言できない。然るべき指導者が然るべき風説を流布したなら、容易に怒ることだと思う。
この3つは我が国での思考実験だ。現実に起こりつつあることではない。
だがこれが、世界全体での話題になったらどうなるだろうか。
国レベルで貧困を抱えているならどうだ?
国レベルで民族浄化を考えているならどうだ?
俺の小さい頭と2つの目ではそこまで考えられないし、見ることもできないけどな。