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【本の紹介】カスタマーハラスメント撃退の教科書(加藤義樹著)

今回は私が読んだ本「カスタマーハラスメント撃退の教科書」を紹介します。
Kindle Unlimitedをご利用の方は無料で読めますよ。


どんな本?

最近、「カスハラ」ってよく聞くようになりましたね。
報道番組などでは、スマホで撮影した店舗で「なぜ?」と思うほどのカスハラのシーンが公開されたりもしています。
この本は、そんなカスハラ(カスタマーハラスメント)から現場の皆さんを守るために様々な指南をしてくれている本です。

著者は携帯電話ショップでの店舗運営経験を活かし、研修会社等を経て独立、クレームコンサルタントとしての活動をされておられます。
本書でも携帯電話ショップでのご自身の経験を語られており、生々しい現場経験が豊富だからこそ、トラブル予防のための考え方まで教えられています。

この本では「3つの悩みを同時に解決」することを謳っています。
1.正当なクレームの円満解決
 (正当なクレームをこじらせないように、真摯に対応できると
  顧客満足度向上につながります)
2.悪質なクレーマーに対する反撃・撃退法
 (悪質なクレームがカスタマーハラスメントに値するわけですが、
  その対応方法について知っておくとスムーズな解決につながり
  従業員の方の疲弊を救うことができます)
3.クレームに強い現場の作り方
 (クレームはなくならない、という前提で対策を事前に打っておくと
  上記の「1」「2」が獲得できます)

クレームの事例として「お客様別カテゴリ」「状況別カテゴリ」に整理されており、様々な視点からの対応方法を具体的に教えてくれる他、
クレームは予防できるんだ、やってみよう、と思える一冊です。

主にBtoCで稼働されている会社の方々には、具体的で、とても参考になると思いますが、BtoBであっても取引先との軋轢に悩んでいる会社の方々には参考になる書籍だと思います。

この本で「カスタマーハラスメント防止対策を」と思われた会社側の方は、ぜひ公的機関からの発信にも触れてほしいです。
この本と併せて対策を検討すると効果的だと思います。

私の気づき

この本を読んでいて、思い出さずにはいられなかったのは、私自身がJALコールセンターで働いていた時の経験でした。
電話の向こうから聞こえてくる、耳を疑うようなセクハラに該当する妄想めいた言葉や、
ランダムに担当者つながるにも関わらず、わざわざ私を指名して攻撃の言葉をかけてこられたエピソード・・・
色々あったなぁ~と思い出しました。

おかげで精神的なタフさのようなものは鍛えられたなと思う一方で、
あの頃、当たり前と世の中で言われていた「お客様は神様です」的な考え方に疑問を抱いていたことを思い出しました。

それが、明確に「神様ではありません」と言い切ることができる、いい世の中になったんだなぁ、と感慨深くなったりしました。

人と人が何らかの取引をするときには「上下関係」が自然的に発生します。
特にビジネスのシーンではそうですよね。
著者は、その上下関係が自然的に発生しやすい「お客様」という概念に対して、こんな文章で線引きしていました。

度を越した・一線を越えたと判断したら、その瞬間『お客さまではなくなった』と判断=クレーマー判定し、迅速に『反撃・撃退モード』のスイッチを入れなければならない

Chapter4 あなたはもはやお客様ではありません!【実践!クレーマー撃退法】 より

そうです、確かにその通りです。
「度を超す」というのは、とっても大切な線引きの概念です。
どこで「この人はお客様ではない」という線引きができるかどうか?が、非常に大切なんですよね。

ちなみに、今、私は「ハラスメント防止コンサルタント」の資格試験の勉強をしているのですが、どのハラスメントでも出てくるハラスメント判断のワードが「必要かつ相当な範囲を超えて」とか「社会通念上に照らして不相当」というものです。
ややふわっとしたワードではあるのですが、その「ふわっと」した感覚を具体的な言動に落とし込みができると、前述の「度を超す」も何が起こったら「度を超す」なのか?が明確になり、判断もできるということなんですよね。

その「具体的な言動」が何なのか?ということをお客様対応する人々が理解していることが大事。
それゆえ、防止策としては「事例周知」とか「教育」が必要になります。
単純に「ムカついたから」だけでは、その判断はできないと思ったほうがいいでしょう。
著者もこんなことを言っています。

怒っている相手にこちらも怒ったりイライラするということは、自分から相手の土俵に上がっているわけです。もっと言うと、どんな経緯や理由があろうが客観的に見て理不尽なことを要求するということは、『そういうレベル』ということです。 それに対してこちらも感情的になるということは、『自分もそのレベル』になってしまっている、という考え方です。

Chapter5 ストレスゼロも不可能です!【クレームに負けない体質づくり】 より

マイナスな感情をマイナスな感情で「応酬」してはならない、そんな教訓を思わせてくれる話です。
ちなみに、個人的には「レベル」という表現はあまり好きではありません。(人の人格をレベル分けしているように感じてしまうのが、やや抵抗があります。例えば「鏡のように相手と同じことをしている」程度とかならいいかな、と思います。言い方だけの問題ですね💦)
話を元に戻すと「相手の土俵に上がる」ことは、感情的になっているシーンでは、まず止めたほうがいいのは間違いありません。

マイナスな感情をマイナスな感情で応酬してしまうと、いつの間にか「報復」といった考えが浮かんでしまう危険性もあります。
その考えを持つことは、自分の人生を豊かにすることでしょうか?

カスタマーハラスメントに遭遇してしまう状況、というのは、経験豊富な著者が語るように避けられないことは確かだと、私も思います。
とはいえ、それに振り回され、自分の心身のバランスを崩してしまっては、元も子もありません。

本のタイトルは「撃退」といった強い言葉がありますが、キャッチーなタイトルのためのワードだろうと思ったので、私としては「自分の身を守る」ことを目的に理解したいなと思って読みました。

カスタマーハラスメント対策に限らず、頑張って働くビジネスパーソンの皆さんが「マイナス感情の他者の土俵に上がる」ことなく、ご自身で大切にしたいことを大切にして、自分の人生を豊かにするために、ご自身の心と体を守る術を学んでいってほしいな、と改めて願う本となりました。

おすすめポイント

今、まさにカスタマーハラスメントで悩んでいる方には本当におすすめです。リアルな事例と対処法はきっと力を貸してくれると思います。

また、カスタマーハラスメントではなく、何かしらの対人関係で威圧的な行為に悩んでおられる方にも力を貸してくれる書籍になるのではないかなと思います。

毅然と前を向いて仕事をしていきたい、そう思う人にもきっとヒントを与えてくれると思いますよ。


「毅然と、ってどういうイメージだろう?」と思われた方、
「前を向きたいけれど、言われたことでついつい反応してしまう」と思われた方、
私でよろしければ、壁打ちのお相手を
させていただきます。
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