【手帳と暮らしてきた#6】バーチカル手帳は「今」を一緒に駆ける相棒
これまで主宰のおおやまが過去に使ってきた手帳を紹介する連載「手帳と暮らしてきた」。
月1更新でしたが、Kindle本の作業やほかの記事との兼ね合いでしばらく更新できていませんでした。
#6の最終回は、長年の付き合いになるバーチカル手帳についてお届けします。
不調パターンをつかむために「行動ログ」を始めた
息子が産まれて何年かは、レフト式手帳やバレットジャーナルで記録をつけていましたが、どれもベストとはいえませんでした。
なぜかというと、ひとつは色んな手帳を使わなければ自分に合うものが分からないこと。
もうひとつは、その時ベストな手帳は、そのつど生活環境によって変わるからです。
レフト式は見開き右ページの使い方が定まらず、試行錯誤するも次第に空白のページが増える。
バレットジャーナルはTODOを書き留めるには便利でしたが、週単位で予定や出来事を見通せないのがネックでした。
何より、当時は母子通園をしていたものの、息子はまだ2~3歳で、毎日が予定通りにいかないことばかりでした。
写真アプリを見返せば愛らしい息子の言動やしぐさが残されていますが、当時は息子の成長を楽しむ余裕はほぼありません。
生来家事が億劫だったこともあり、やるべきことすらろくにできない日もざらでした。
しょっちゅう自責の念に駆られ、涙混じりに電話口で話す私に、実家の母は言いました。
「あんたが潰れちゃいけないよ。もっと楽しく子育てしようよ」
どうすればいいのかすら分からないまま、まずは自分自身の調子を安定させるべく、手探りで方法を探し始めました。
その際参考になったのが、インスタグラマーのなかむら真朱さんの「ごきげんゆるノートBOOK」でした。
参考にしたのは、バーチカル手帳に書かれた「24時間ログ」。
睡眠時間や食事、運動の記録、日中の行動や1日の振り返りを細かく書いたものです。
これらの記述を読み、まずは時間に沿って「行動ログ」をとることを決めました。
行動ログから、不調を起こしやすいパターンをつかむ。
また、何にどのくらい時間を使っているか可視化し、家事に回す時間や自由時間を導き出すことにしたのです。
はじめての「ジブン手帳Biz」は挫折
数年ぶりに選んだバーチカル手帳は、コクヨの「ジブン手帳Biz」。
手帳ユーザーの中でも愛用者が多く、以前から気になっていた手帳でした。
元祖のジブン手帳はフォントや色づかいがしっくり来ず敬遠していたのですが、ネイビーを基調としたBizはすんなり受け入れることができました。
以前使っていたバーチカル手帳「クオバディス エグゼクティブノート」の要領で、色分けしながら書いていたものの、この年(2019年)は通所先で大きなストレスがあったためか、9月頃で記入が途絶えています。
しかし、挫折した大きな原因は私事よりも別のところにありました。
使い方のルールを、自分で確立できていなかったのです。
2年目のジブン手帳Bizのためにしたこと
翌年はもっと簡素な手帳にしようとロルバーンを購入したものの、就園前の変化の多い日々に対応してくれたジブン手帳の便利さが忘れられませんでした。
結局2月頃になって、新しいジブン手帳Bizを購入。
失敗を繰り返さないよう、「こんな風に書きたい」と思えるイメージをつかんでから使い始めました。
公式ガイドブックを購入し、色んな方の使用例を見ていると、ある方の使い方に目が留まりました。
方眼罫に合わせて几帳面に余白を取り、すっきり丁寧に書かれているさまは美しいの一言。
独学でデザインを学び、マージン(余白)の取り方にこだわりがあった私は感銘を受け、その方の余白の取り方を取り入れることにしました。
さらに、自分で書き方のルールを設けました。
主なルールは以下の通りです。
また、ジブン手帳にはガントチャートがフォーマットとして用意されています。
こちらにも、主に心身の健康のために管理したいことを記録していました。
必要な記録をつけることで変わり始めた
ジブン手帳Biz2年目の年は2020年。
コロナ禍に見舞われ、息子も幼稚園入園とともに休園を余儀なくされました。
自分自身の調子を安定させるどころか、先行きの見えない日々の中で、息子に当たってしまった日や、無気力で横になっていた日が散見されました。
そのさなかでも、赤いマーカーで引いた休息の時間や、H・M・Fの3項目での振り返りは、いくらか気持ちを前向きにさせてくれました。
「息子にやさしくできないのが辛い」と書いた後に、息子が「(やさしく)できるよ!」と言ってくれたこと。
夫との喧嘩が度々見受けられる一方で、母の日に花を贈ってくれたり、育児の合間に2人で出かけて心弾ませていた様子。
苦労も多かったけれど、喜びや楽しい記憶に支えられていたのが手帳からうかがえました。
また、必要な記録をつけることで、私の意識も自責の念ばかりでなく、徐々に明るいほうへ向かっていくようになったのです。
2020年の後半はWebライターとして案件を受けていたのもあり、家族との時間を差し引いた残り時間を確認するためにも、もはやメインの手帳はバーチカル以外考えられなくなりました。
2021年から書き始めた「良かったこと」と「明日楽しみなこと」
2021年に選んだのは、NOLTYの「リスティ1」でした。
ジブン手帳とほぼ同サイズのA5変型で、罫線の主張が控えめ。
価格も当時は2,000円以下と、良心的なのが高ポイントでした(現在は2,310円)。
リスティ1はマンスリー・バーチカルともに使い倒した手帳です。
マンスリーは予定を書く傍ら、季節のシールを貼ったり空いているマスを飾りつけて、見た目にも楽しいページに仕上げていました。
ウィークリーの書くルールは引き続き設定し、この年から新たに以下の項目を加えました。
さらに、マンスリーの端のスペースには金の丸シールを頭に貼り、その月良かったことをまとめていました。
ジブン手帳にあったガントチャートがなくなった分、手書きで記録する手間があったものの、すっかりバーチカル手帳を書くことに慣れ、年間通して書くことができました。
私事では大規模な引っ越しがあったり、「テラス手帖」を立ち上げることになったりと、変化の多い1年でした。
環境が変わったのもありますが、精神面では「良かったこと・明日楽しみなこと」を書き続けたことにより、物事のよい面にフォーカスしていけるようになりました。
同時に、少しずつ息子に優しくできる余裕が生まれたように思います。
保育園期は自由度の高いセミバーチカルで
2022年は、テラス手帖でレビュー記事を書くため気になる手帳を複数冊使うことに。
メインで使っていたのが、いろは出版の「SUNNY手帳」です。
時間軸がざっくり分かれている「セミバーチカル」というフォーマットでした。
SUNNY手帳を選んだ理由は、これまで使ってきたどの手帳もピンと来ず、店頭で惹かれたのが正直なところです。
ですが、曜日ごとに予定が異なっていた今までと違い、息子の生活は保育園+αの決まったリズムに移行していました。
そのため、細かな時間軸でなくても対応できたのは幸いでした。
代わりに、使い方が時々しっくり来なくなり、そのつど変えながら書いていました。
①使用当初
体温、起床~就寝時間、歩数などのログを書いていたものの、いまいち楽しくなくてやめる。
②中期
Instagramで見かける、ぎっしり書き込み手帳デコをしたバーチカル手帳を真似てみる。
楽しくはあったが、手間がかかる上に出来事が分かりづらく、やめる。
③その後
上部に体温と体調、パート開始後は出勤日にスタンプ。
良かったこと・明日楽しみなことの記録を再開。
下部のフリースペースは5項目の目標を週初めに立て、週末に振り返りをしていた。
結局③の書き方が最もやりやすく、スケジュールやTODOは別の手帳に任せていたため、年末までこのスタイルを貫きました。
SUNNY手帳はデザインが洗練されており、今でも使っていて楽しかった手帳のひとつです。
バーチカル+メモタイプで最も推せるtorinco11
2023年になるとレビュー目的の複数冊使いをやめ、再びしっかり時間軸のあるバーチカル手帳を探すことにしました。
というのも、この年から息子が小学校に上がるため、学校独自のやや不規則な生活に対応する必要があったのです。
一方で、一週間の方針を定め、振り返りができたSUNNY手帳の書き方は思った以上に馴染んでいました。
そこで、週単位で時間軸とフリースペースが一緒になったバーチカル手帳に的を絞りました。
候補はいくつかあったのですが、そのうち最もシンプルで、価格も2,200円(2025年始まり現在)とお手頃だったのが、高橋書店の「torinco(トリンコ)11」でした。
大判のA5サイズで書きやすく、フリースペースも見開きの1/3あり十分。
しかしバーチカル下部のスペースがやや狭く、引き続き書いていた「今日良かったこと」「明日楽しみなこと」の記入に苦心していました。
結局、数年続けて精神的に十分な恩恵をもらったと判断し、この2項目は書かなくなりました。
この年は息子の就学の不安で心労が強かったのもあり、GW後に抑うつでパートを退職。
一時期ほとんど手帳に記録できなかったこともありました。
しかしその後も淡々とどう過ごしたか書き、自分の生活を大きく否定しませんでした。
もちろん働くことに関して焦りや不安は拭えませんでしたが、そういった話は手帳との自問自答だけでは解決できません。
その面は家族や就労支援に大きく助けられました。
大きく自己肯定感を損なわずにいられたのは、毎週の振り返りのおかげです。
振り返りの度に、良かったことは大いに喜び、ねぎらう。
息子にきつく当たるなど後悔したことは反省し「次はこうしよう」と、フラットな状態に自分を持っていけたのです。
このあたりで、私の手帳の布陣は円熟期を迎えていました。
現在の最適解・セパレートダイアリー
2024年も引き続きtorinco11を使っていたのですが、行動ログとスケジュール・TODOを別に書いており、手帳を行き来することに若干の不便さを感じていました。
転機は、春頃に伊藤手帳さんとの企画で「セパレートダイアリー」のウィークリータイプをいただいたことです。
セパレートダイアリーは試しに一度使ったことがあり、テラス手帖の作業の進捗を管理していました。
上下に分割されたページで、マンスリーとバーチカル、ウィークリーのメモを一覧できる機動力は、暮らしのメインに据えることで真価を発揮しました。
メモ部分を使ってその週のTODOを割り振り、バーチカル横のメモでこれまで行ってきた週ごとの目標と振り返りも簡易的に記入。
課題だった行動ログ・スケジュール・TODOを1冊で管理でき、現在の私の生活において最適解な手帳となったのです。
暮らしそのものを書いていたら、一緒に「今」を駆けるようになった
バーチカル手帳は、必ずしも時間軸に沿って細かな行動ログをつける必要はありません。
もっと自由な使い方をしているユーザーの方もたくさんいます。
ですが、少なくとも私は、まず自分の健康と家族の生活を良くするために、暮らしそのものを書き出すことから始めました。
そのために最適だったのがバーチカル手帳だった、それだけです。
今は1日、もしくは1週間の中で自由に活動できる時間を把握し、逆に休む日をブロッキングすることで生活のメリハリをつけています。
本来は好きなことを優先しがちで先延ばし癖があるからこそ、細かなTODOを書いて行動に移し、「きちんとやっている」自分を自信へとつなげられるようになりました。
記録として残す、先の予定を忘れないように書くのはもちろんですが、私にとってバーチカル手帳は共に暮らしを営み、「今」を一緒に駆ける相棒なのです。
息子が大きくなるにつれ、生活が変わり、その度に手帳の使い方も変化するでしょう。
ですがこの先も、手帳と暮らしていくことに変わりはありません。
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連載「手帳と暮らしてきた」は今回で最終回です。
今までお読みいただき、ありがとうございました。
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