見出し画像

#1830 「実験室のマウス」「勉強マシーン」を量産する教室

私はこれまで「実験室のマウス」「勉強マシーン」を量産する教室を築いてしまっていた。

自分の机と椅子に座り、ひたすら「やるべき課題」をこなす姿を美化してきた。

まさに「行動主義」に裏打ちされた「実験室のマウス」を生み出してきた。

「自由進度学習」という流行りの実践に飛びつき、それをトレースし、自分の教室で再現しようとしてきた。

単元計画表を配り、教科書の内容に沿って、学習を進めさせていた。

「教えるべきこと」は導入で一斉に教え、あとは無味乾燥な教科内容を習得させていた。

教師も子どもたちも、それが今後どう活用されるかも分からないまま。

教科の本質を楽しく深く学ぶような「教科する授業」ではなく、単なる「教科の内容を学ぶ授業」に終始していた。

単元の終末には、補充問題に取り組ませ、テスト対策をしてきた。

ICT機器は「協働的な学び」で活用するわけではなく、「個別最適な学び」のために活用してきた。

このように、教師が敷いたレールの上を従順に進み、「手際の良さ」のみを重視するような「勉強マシーン」を量産しようとしてきたわけである。

このような構造の中に、「真の主体性」は宿っていない。

完全に「受け身」の状態であり、「入口の情意」を強固にしてきただけである。

目指すべきは「出口の情意」である「エージェンシー」のはずなのに。

これを変革していくためには、授業デザインを根本的に見直していく必要がある。

無味乾燥な知識・技能の習得に終始していたのでは、子どもたちはますます「勉強嫌い」になるだけである。

「学ぶことはつまらないこと」という価値観を植え付けるだけである。

ここを変革しなければならない。

そのためには、まずは教師自身が「教材研究」を楽しむことが必要だ。

子どもたちに出会わせる「材(対象世界)」に向き合い、その中にある「面白さ」「奥深さ」を発見することが必要となる。

そして、実生活に近いホンモノの学びになるような「単元の課題」を構想する。

いわゆる、真正の「パフォーマンス課題」である。

これを単元の導入で子どもたちに提示し、対象世界へ没入してもらう。

その後は、「単元の課題」を解決するために必要なパーツを各時間に習得していく。

その際も「教師」「子ども」「材(対象世界)」という三角関係を重視し、共同注視をしながら学習を進めていく。

学習を進める上では、「個別最適な学び」の原理を意識し、「指導の個別化」により、子ども個々のペースや学び方、自己調整を尊重していく。

また、「協働的な学び」の原理を意識し、「学び合い」や「練り上げ」「ICT機器の活用による協同」を重視していく。

さらに、「教科等特有の見方・考え方」を働かせるように仕向けることで、「深い学び」も実現していく。

そうやって、必要なパーツを集めていき、最終的には導入で確認した「単元の課題」に挑戦していく。

このような「末広がりの単元構想」を重視していく。

これにより、子どもたちは
「この教科の学びは面白い」
「いつかこの学びが役立ちそう」
「もっと学んでみたい」
と思えるようになるのだ。

これは「実験室のマウス」「勉強マシーン」という姿とは雲泥の差となる。

教師が「材(対象世界)」を面白がり、それを子どもたちにも追体験させることで、子どもたちもそれを面白がることができる。

「中身の伴わない主体性」を育成するのではなく、「内容を追究していく主体性」を育てるのである。

有田和正氏が実現したような「追究の鬼」を育て上げるのである。

そういえば、有田学級の子どもたちは「ペーパーテストに弱い」という話を聞いた。

しかし、そこも「個別最適な学び」の原理を活用すれば、解決できる問題である。

これからは、「実験室のマウス」「勉強マシーン」ではなく、「学びを楽しむ主体」を育てていくようにしたい。

いいなと思ったら応援しよう!