見出し画像

#1863 発問をデザインする

今回は、宗實直樹氏の『「発問」のデザイン』からの学びを整理していく。


・発問の機能
➀子どもの思考に働きかける
②子どもたちを分化させる
③問い方を教える(代理発問)
 →問い方を明示的に示す、子どもが問いをつくる経験を積む
④受動的発動(子ども自らが動き出すエネルギーになる)

・よい発問の条件
➀明確:曖昧でない
②単純:1つの事柄のみ
③発展:価値判断、解釈、因果関係、説明
④具体:抽象的でない
⑤的確:学習目標に合う

・よい発問:教科の目標を達成させると共に、子どもの変容と意思決定を促し、子どもが「発問者」として育つ発問
 ※「教科の論理」と「子どもの論理」がバランスよく内在する。

・ズレによる知的好奇心の喚起
➀予想と事実のズレ
②認識と事実のズレ
③子ども同士の考え・解釈のズレ
 ※「変化」「違い」「数値」「意外性」

・「めあて」は指示型でも、発問型でもよい。大切なことは、疑問やつぶやきをつなげて、問題意識を高めさせることである。

・「発問」「指示」「説明」以外に「助言」もある。 ※受けの指導言
➀解答のためのヒントを与える
②子どもの思考の方向を示し、そちらに思考をすすめるように調整し、促す

・発問の類型
➀絞る発問:「だれが」「いつ」「どこで」
②広げる発問:「どのように」
③深める発問:「なぜ」

・評価言
➀子どもの行動を価値付ける価値判断的要素
②価値判断の基準・理由を明示する注釈的要素
③次の行動への示唆となる助言的要素

・発問の組織化
(1)論理的な組織化:授業の流れ
 ①目標達成から考える問い(中心発問、補助発問)
 ②発問の類型(絞る、広げる、深める)
(2)科学的な組織化:教科の論理
 ①見方・考え方を働かせる問い
 ②概念等に関わる知識を獲得する問い
(3)心理的な組織化:子どもの論理
 ①ゆさぶり ②共有化を促す
 ③知覚語 ④感覚に働きかける

・社会科における発問の分類
➀知るための発問:「どこで」「いつ」「だれが」
         「なにを」「どのように」→事実的知識
②分かるための発問:「なぜ」→概念的知識
③関わるための発問:「~べきか」「どちらが~」→価値的・判断的知識
 ※「位置・空間」「時期・時間」「相互関係」をかけ合わせる。
 ※①は目に見える事実、②③は目に見えない意味・特色・関連・思い

・発問づくりの5ステップ
➀学習指導要領を読む
②教材研究をする
③子ども研究をする(子どもの個人差、見取り)
④本時の授業の流れを構成する(導入-展開-終末)
⑤発問する際の技術を確認する

・教材研究の仕方
➀教育内容:何を教えるか
②素材:どのように教材化するか
③教材:どのように教えるか(授業)
 ※➀からが「上からの道」、②からが「下からの道」

・子どもの個人差
➀到達度 ②進度差 ③学習速度 ④学習の仕方 ⑤学習意欲
⑥学習態度 ⑦学習スタイル ⑧興味・関心 ⑨生活経験的背景

・見方・考え方の成長
➀多面化(様々な見方) ②多角化(様々な立場)
③一般化(他の分野の当てはめ) ④具体化(他の事例の当てはめ)

・見方・考え方を働かせる発問
(1)教科共通
 ①比較する発問 ※類似点、相違点
 ②総合する発問 ※つまり~(抽象化)、例えば~(具体化)
 ③関連づける発問 ※既習との類似、活用
 ④つなぎ言葉
(2)教科特有 ※社会科の例
 ①選択・判断する発問
 ②多角的に考察する発問

・つなぎ言葉の例
➀例えば(例示) ②つまり(まとめ) ③だったら~(応用)
④~と同じで(活用) ⑤それに(付加) ⑥だけど(逆接)
⑦きっと(想像) ⑧もし~なら(創造)
⑨だって~(説明) ⑩または(選択)

・スキーマを発展させる発問
➀子どものもっている知識を引き出す発問
②子どものもつスキーマち不一致な情報を与える発問
③スキーマを組み替えることを要求する発問

・「既知」のあとに「ゆさぶり発問」をすることで、「未知」で授業が終わる。そのあとの「間」で子どもが追究活動を始める。

・教材or子どもの側からつくる問い
(1)教材側:教科のねらいをもとにする
(2)子ども側 ※見取りが重要となる。
 ①子どもが調べてきたことをもとにする
 ②子どものあり方をもとにする

・発問の段階
➀自由発言を可能にする発問
②視点の転換を促す発問
③自他の関係の認識を意識させる発問
④自他の関係を学習発展の契機とする発問
⑤個性的な構造をもつ発言の響き合いとなる発問

・教師の役割
(1)指導
 ①直接指導:指導言、評価、フィードバック
 ②間接指導:学習形態の選択、学習用具の選択、見取り、教材研究
(2)支援
 ①直接支援:面談、傾聴、問いかけ、価値付け
 ②間接支援:笑顔、心理的安全性、委ねる、調査、観察

・学習者主体の授業で使う教師の言葉
➀助言:「~してみよう」「~を見てごらん」
②提案:「~するのはどう?」「~はおもしろくない?」
③質問:「どうする?」「どうしたい?」「どうだった?」
④価値付け:「いいね」「おもしろい」「さすが」

・問い返し発問
➀意味を問う ②理由・根拠を問う ③続きを問う ④ヒントを問う
⑤他の表現を問う ⑥思考や表現のよさを問う ⑦否定的に返す

・教師だけが「問う」のではなく、子どもの内なる「問い」を育て、子どもを「問う存在」にしていく。

・授業づくりの要素
➀教育内容 ②教材 ③教授行為 ④学習者
 ※発問は③に関わる。
 ※「教師が教えたいことをいかに子どもに学ばせるか」が重要。


以上が、書籍からの学びである。

発問をデザインする際に活用していきたい。

いいなと思ったら応援しよう!