攻略
一首の中の時間の流し方が巧い。
「フレッシュネスのナゲット」はフレッシュネスバーガーのチキンナゲットのことであろう。ファーストフード店の数あるメニューの中でどう注文すれば満足度の高い食事ができるか、人は考えるともなく考えるものである。この歌では、たまたま注文したチキンナゲットの美味しさに気が付いてからは、この店の「攻略」の仕方がわかったというのだ。
結句の「シンプルだった」が効いていて、読者はナゲットを食べるという行為は現在進行中のものだと思いつつ読み進めて行くが、結句まで来て、それまでの記述が回想であるということがわかり、一首のイメージが塗り替えられる。
また、「攻略」の具体的内容は省略ないし伏せられていて、読者にそれを想像する楽しみを残している。
こうした時系列を撹乱するような歌は一連の中では〈階段は少し走った方が疲れない、という可能性 わからない〉も似た構造で、作者の方法論が伺える。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?