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リハビリにおける「知・情・意」

セラピストによっては患者さんに感情移入しすぎて、働くのが辛くなってしまうことがあります。

あるセラピストは、患者さんに対して機械的に接するが故に「冷たい人」と思われてしまいます。

勉強熱心だけど治療手技を患者に当てはめてしまうがために、患者さんの本当のニーズから逸脱してしまうセラピストがいます。

今回はこの三者に共通する心理的な要素について、深掘りしてみたいと思います。

人間が持つ3つの心理

哲学者カントは、人間の精神のはたらきとして「知・情・意」の3つを考えました。

カントが残した有名な問いがあります。

「私は何を知りうるか」
「私は何を望んでよいか」
「私は何を成すべきか」

イマヌエル・カント(Immanuel Kant)「純粋理性批判」

何を知りうるか、これは知性を表します。

何を望んで良いか、これは感情です。

何を成すべきか、これは意思ですね。

すなわち、上記の知・情・意、この3つを人間の精神の働きとして重要視したわけです。

日本においても夏目漱石が同じようなことを言っています。

智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。

夏目漱石「草枕」

うまいこと考えたものですよね。
それぞれについて見ていきましょう。

「知」とはなにか

・知性に関わる心の働き
・分析、理論、エビデンス
・損得、合理的、真理

「情」とはなにか

・感情に関わる心の働き
・優しさ、協調性
・感性、芸術

「意」とはなにか

・意思に関わる心の働き
・信念、正しさ、行動
・倫理、哲学

3つの心理のうちどれが一番当てはまるかは、人それぞれ違うはずです。
あなたはどれでしょうか?

ちなみに僕は圧倒的に「知」が強いです(笑)

医療業界における「知」「情」「意」

これをリハビリ業界に当てはめてみましょう。

「知」=EBM
「情」=同情
「意」=長期目標、hope

どれか一つに偏りすぎていると、良いリハビリは提供できません。

エビデンスがあるからといって、
下肢の筋力強化練習を反復してひたすら歩行練習を行うのが良いわけではないのです。

だからといって、
患者さんの言葉を親身に受け止めすぎて全く歩行練習をしないPTは、リハビリ職種としての存在意義を問われてしまいます。

患者さんのためを思って考えた目標設定に縛られて、大事なことを見落としてしまう場合もまたしかり、です。

「知」「情」「意」の3つが合わさることで、バランスの取れた良い治療家になれるのではないでしょうか。


「知・情・意」のバランスを取る方法

「知性」とは、物事を理性的に判断する力であり、
学問や知識を習得することで高めることができます。

「感情」とは、喜怒哀楽などの感情を表現する力であり、
自分自身や他人の気持ちを理解することで高めることができます。

「意志」とは、自分自身の目標や価値観に基づいて行動する力であり、
自己啓発や目標設定などで高めることができます。

この三要素のバランスを取りながら成長することで、より豊かな人生を送ることができるかもしれません。

1、自分自身を知る

自分自身の性格を知り、自分がどのような状況でどのように反応するかを理解することが大切です。
自分自身を知ることによって、感情や意思をコントロールしやすくなります。

自分を知るためにはビッグファイブテストが有効です。
詳しくは下記の記事を参照してみてください。

2、コミュニケーション能力を高める

人間関係においては、感情や意思が大きく影響します。
コミュニケーション能力を高めることで、感情や意思を上手に伝えたり、相手の感情や意思を理解することができます。

コミュニケーション能力の高め方については以下の記事を参照してみてください。

※準備中

3、自己管理能力を高める

自己管理能力を高めることで、感情や意思をコントロールしやすくなります。

例えば、ストレスを感じた時には、自分自身でストレス解消法を見つけたり、リラックスする時間を作ったりすることが大切です。

趣味に没頭する事でストレス解消になるのはもちろんですが、
新しく興味のある分野を持つことによって、自分自身の感情や意思を表現する場が増えます。

4、自分にとって足りない要素は何かを考える

僕のように知の要素が高すぎるセラピストの場合、
もっと患者さんの内面を引き出す問いかけを意識的に増やす必要があります。

こうして見ると、リハビリにおけるプログラム立案と同じですね。

知・情・意の中で自分に(あるいは相手が)足りない要素が何かを評価して、
それを鍛えるプログラムを立案して実行する。

僕は会話の最中、「いま相手はどんなことを考えているのか」を想像する習慣をつけようと頑張っているところです。
…なかなか難しいんですけどね。

それでは、今回はこのあたりで。

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