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うつ病で退職した場合「就職困難者」に該当し、150日~360日の基本手当給付を得られる場合があります!

 以下は2024年11月8日時点での情報です。最新の情報は、ハローワーク等公的機関にお問い合わせください。

 タイトルが全てです。

 失業手当(基本手当)についてちょっと調べると「特定受給資格者」と「特定理由離職者」という言葉なら、すぐ出てきますし、これらなら比較的自分が受給要件に当てはまっているかどうかイメージしやすいと思います。ネットで調べて出てくる情報もこの二つが大半です。
 会社からクビ切られたから特定受給資格者なのかなーとか、結婚して会社辞めたから特定理由離職者になるのかなーとか。精神疾患理由で辞めたんだったら、自己都合でも待機期間なくいけるのかなーとかね。

 なんですけど! ですけど! 実は、もう一つ区分が存在するんです。それは就職困難者という区分です!

 この区分、なんかマイナーな上(わたしだけ?)に誤解しやすい点があってですね……ハローワークのページには就職困難者についてこう書かれてるんです。

就職困難者とは、1. 身体障害者、2. 知的障害者、3. 精神障害者、4. 刑法等の規定により保護観察に付された方、5. 社会的事情により就職が著しく阻害されている方などが該当します。

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/help/question05.htmlより引用

 ええ。なんか物々しい文面が並んでますね。なんか、障害者手帳(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳等)を持ってる人しか当てはまらんのかなって気がしますよね。
 実は、三番の精神障害者には例外規定があって、精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても、統合失調症・そううつ病(そう病、うつ病含む)・てんかんの人は、ハローワーク規定の医師の診断書(前述該当の病名が記載されたもの)さえあれば、就職困難者に該当する可能性があるんです。
 いやぁ……まさしく盲点。しかも厄介なのは、就職困難者として申請するには、医師の診断書が必要という点です。例えばうつ病になって退職したあなたが何も知らずに窓口に行って、自己都合で申請してしまったとしたら。窓口の人が親切に教えてくれればいいですが、そうでない場合、そのまま自己都合で通っちゃいかねないんですよね……(窓口の処理的にはそれで何ら問題はない、こっちとしては大問題だが)

 就職困難者となれば、最低でも150日、最高で360日の給付日数になります。会社倒産による退職といった、会社都合の退職で辞めた場合でも、どれだけ条件が良くても240日しかありませんから、どれだけ就職困難者が優遇されているか分かります。

 他に就職困難者になって優遇されるものとして、通常なら二回やらないといけない求職活動(ハローワーク規定のもの)が一回で良くなるという点があります。とにかく、信じられないくらいサポートの手厚さが変わるんですよね。

 休職を経由して退職した、みたいな場合であれば、主治医がいるケースも多いのではないでしょうか。もし当てはまりそうなら、ぜひ考えてみてください。金銭的余裕があるだけで、気持ちの持ちようも大分違うでしょうから。
 それに、最悪適用対象外だったとしても、何も損害を被ることはありません。申請できるか試してみてダメだったらそれでいいんです。とにかく、少しでも当てはまりそうならハローワークの職員とか、詳しそうな人に相談してみましょう。失業手当は国民の権利です。貰うのになにも躊躇する必要はありません。

※一応、注意点だけ最後に。就業困難者と認定されるためには「統合失調症・そううつ病(そう病、うつ病含む)・てんかんによって、仕事を辞めざる負えなかった、かつ、申し込み時点で週20時間以上の労働が可能であることを医師に認定してもらう」必要があります。現時点でうつ病かどうかは無関係であることに注意してください。このあたりの詳細については、ハローワークの窓口に問い合わせられることを強く勧めます。

参考条文

 ほんとに? 嘘じゃなくて? という人向け。実は条文を隅々までよーく見ると、ちゃんと書いてあったりする……

※以下、太字は筆者の方でつけたもの。

https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116#Mp-Ch_3-Se_2-Ss_1-At_22
雇用保険法

第二十二条 一の受給資格に基づき基本手当を支給する日数(以下「所定給付日数」という。)は、次の各号に掲げる受給資格者の区分に応じ、当該各号に定める日数とする。
一 算定基礎期間が二十年以上である受給資格者百五十日
二 算定基礎期間が十年以上二十年未満である受給資格者百二十日
三 算定基礎期間が十年未満である受給資格者九十日
 2 前項の受給資格者で厚生労働省令で定める理由により就職が困難なものに係る所定給付日数は、同項の規定にかかわらず、その算定基礎期間が一年以上の受給資格者にあつては次の各号に掲げる当該受給資格者の区分に応じ当該各号に定める日数とし、その算定基礎期間が一年未満の受給資格者にあつては百五十日とする。
一 基準日において四十五歳以上六十五歳未満である受給資格者三百六十日
二 基準日において四十五歳未満である受給資格者三百日

基本手当を支給する日数について規定している条文。ここで厚生労働省令で定める理由により就職が困難なものが、いわゆる就職困難者に該当する。

ここでいう厚生労働省令とは、雇用保険法施行規則である。

https://laws.e-gov.go.jp/law/350M50002000003#Mp-Ch_3-Se_2-Ss_1-At_32
雇用保険法施行規則

第三十二条 法第二十二条第二項の厚生労働省令で定める理由により就職が困難な者は、次のとおりとする。
 一 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号。以下「障害者雇用促進法」という。)第二条第二号に規定する身体障害者(以下「身体障害者」という。)
 二 障害者雇用促進法第二条第四号に規定する知的障害者(以下「知的障害者」という。)
 三 障害者雇用促進法第二条第六号に規定する精神障害者(以下「精神障害者」という。)
 四 更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第四十八条各号又は第八十五条第一項各号に掲げる者であつて、その者の職業のあつせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあつたもの
 五 社会的事情により就職が著しく阻害されている者

ここでいう法とは、雇用保険法である。同規則第一条の記載「雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号。以下「法」という。」による。

https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000123#Mp-Ch_1-At_2
障害者の雇用の促進等に関する法律

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。第六号において同じ。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいう。
 二 身体障害者 障害者のうち、身体障害がある者であつて別表に掲げる障害があるものをいう。
 三 重度身体障害者 身体障害者のうち、身体障害の程度が重い者であつて厚生労働省令で定めるものをいう。
 四 知的障害者 障害者のうち、知的障害がある者であつて厚生労働省令で定めるものをいう。
 五 重度知的障害者 知的障害者のうち、知的障害の程度が重い者であつて厚生労働省令で定めるものをいう。
 六 精神障害者 障害者のうち、精神障害がある者であつて厚生労働省令で定めるものをいう。
 七 職業リハビリテーション障害者に対して職業指導、職業訓練、職業紹介その他この法律に定める措置を講じ、その職業生活における自立を図ることをいう。

https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50002000038/20240401_505M60000100094#Mp-Ch_1-At_1_4
障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則

第一条 障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「法」という。)(筆者注:以下略)
第一条の四 法第二条第六号の厚生労働省令で定める精神障害がある者(以下「精神障害者」という。)は、次に掲げる者であつて、症状が安定し、就労が可能な状態にあるものとする。
 一 精神保健福祉法第四十五条第二項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
 二 統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む。)又はてんかんにかかつている者(前号に掲げる者に該当する者を除く。)

上記後半、太字で示した部分が、本記事で語っているところである。

参考文献

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