学習塾にできること ③
2学期制を採用している松阪地区の公立中学校で前期の成績が出てきている。
成績だけではなく、普段から、生徒たちといろいろな話をするけれど
いろんな誤解があるな・・・と思うことが多い。
そして、昨日の生徒との会話で
去年の私の誕生日に、公立中学校1年生の親御さんが
ーこのままでは、希望している高校に行けない。
と、担任に言われたと長い電話があったのを思い出した。
そして、生徒は、お母さんの表現を使うと5教科を教えてくれて「もっと点数が取れるようになる」塾に移った。
その生徒はほどほどに悪くない点数(80点以上)をとっていた。そして、私たちから見ると、それ以上取れないのは、テスト前は「100点を目指し」、テスト後は「ケアレスミスや勘違いを悔しく」思うようなやる気の問題だった。そこで、寺子屋の方針通り、私たちは地道に語りかけ、働きかけ、彼の気づきを待っていることを伝え、その方が希望の高校に入ってからも困らないから、「もう少し待ちませんか。」と伝えた。
すると、今までの経験でこんなに素直な、正直な返事は初めてで、逆にすがすがしいと苦笑するしかない返事があった。
「私が安心したいんです!」
・・・・私は、少し面食らいながら
「その安心は、何のための安心ですか。」
と、聞いてみた。明確な答えは返ってこなかった。
ー今、お母さんの安心する点数をとったとして、入試に合格しなかったらその安心で失うものがあります。また、そうすることできちんと作っておくべき基礎が固まらない可能性があって、高校に入ってから、そして、その後の選択に影響をする可能性があります。なので、そのために私は方針を変えることはありません。あとのご判断はそちらにお任せします。
と伝えた。
昨日、その彼と入れ替わりぐらいに入塾してきた同じ学校に通う同級生くんが
ーこの成績では、高校行けない?
というようなことを聞いてきた。
今の日本の状況で、高校は、
選ばなければ、行けないなんてことはない。
そして、彼は入塾当時の成績と比べたら、今回は1つを除いて全部1ずつ上がっていた。
まだまだ時間はあるから、今度は3科目以上もう1つ上を目指そう。そうすれば、中学3年生までには目標は見えてくるから。
そう伝えながら、彼の希望の進路についていろんな選択肢の話をした。
私は、どうしても子どもたちが怯えてしまうような「嘘」を平気でつく大人になりたくない。
現実を知らせなければならないけれど、嘘をついて、やる気にさせようとすることは、子どもたちからの信頼を得られなくなったとき悲惨な結果を招くことをーいろんなケースから知っている。
もう中学生だ。
進路を考える時期だというのなら、きちんとある程度、対等にいろんな話をしながら、助言する形をとりたい。
今の世の中、オール1はともかくも、オール2でも高校に行けないなんてことはないはずだ。
それが、子どもたちにとって良いことか悪いことかは、彼らにしかわからないけれど、少なくとも、今の中学校までの学習の在り方を見ていると、そんな高校があることで救われている子どももいれば、社会が得していることも大いにあると感じている。