Beautiful Dreamer
浴槽の栓を抜く方法を考えていた。なみなみに溜め込んだお湯をどこかにやってしまえないものかと、そんなことを繰り返し考えていた。羽織っている重たいカーディガンを椅子の背にかけると、靴下だけを脱ぎ捨てて、風呂場のドアノブを捻って押し込む。両膝を床の硬いタイルに置いて、右腕のシャツを肩のあたりまで捲り上げたら、静謐な気配を湛えている明るい緑色の湯に片腕だけを潜らせていく。するとおそらく松や檜が混じったような森林の香りがより濃く立ち上がる。そして擬宝珠に似た金具にだらりと垂れ下がる細っ