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嬉し泣き

2日前、クラスメートから連絡がきた。

「唐草、おめでとう」と書いてある。
何の話かわからないが、インターンが決まったことかなと思い、ありがとうと返したら違う話だった。

ミニ修士論文の成績が出た。
指定のウェブサイトを開くと、クラス全員の成績が公表されていることに驚いた。


私の名前の隣には9.5点とある。

10回は見直した。

最高点は10点だ。

数分後、どうやらクラスで一番だったらしいことがわかった。

私は一体何をどうしたのだろう。



スペインの成績評価は非常に厳しいと聞いていた。
確か5からが合格なので、6か7ぐらいがとれたらありがたいと思っていた。


一晩たって、まだ信じがたい思いでいると、成績をつけたM先生からメールが届いた。

構成要素もよく定義されており、全体として非常に完成度の高いプロジェクトである。選んだテーマ自体の難しさ、また言葉の問題があるにもかかわらず、素晴らしい出来と言える。(中略)
幾度となく私のチュートリアルに足を運び、メールのやりとりを重ねた。このAIの時代において、あのアナログなやり方は彼女が彼女自身でこのプロジェクトを完成させたことの証と言えよう。


「こっちにしておきなさい。研究テーマはプラクティカルであることも大事よ。あなたのさっきのテーマは、かなりタブーじゃないの。そんなのどうやってフィールドワークをやるの」


研究テーマについては、M先生から反対されていた。

でも、調べてみたかった。毎回のチュートリアルでは、こんな仮説などだめだ、あなたは私が教えたことをひとつも理解していないと、ぼろくそに言われていた。千本ノックのように、毎回わけのわからない仮説を持って行っては却下されて帰ってきた。
あまりに否定されるものだから、最後はM先生に相談することをやめた。

修士論文アドバイザーの先生はなかなかつかまらなかった。

先学期、何と闘っているのかわからないが、肩にぱんぱんに力が入っていた。グループワークではもめにもめ、廊下でけんかもした。

スペイン語が怪しいせいで、くやしい思いもたくさんした。

そんなことをひとつひとつ思い出しながら、ぼおっとしばらくの間突っ立っていた。

おめでとう、の言葉で締めくくられたメールを読み終わると、ほろほろと涙がこぼれおちた。

これは嬉し泣き!

M先生は私の1人空回りをずっと見ていてくれたのだ。

課題の提出が終わり抜け殻のようになっていたが、嬉し泣きの後、目の前がぱあと明るくなった。

よし、私はこれからも私のやり方でいく。
おかしくとも、泥臭くとも、遠回りでも。

noteの皆さまには、先学期のめちゃくちゃなときに大変励ましていただいた。皆さまのコメントがなかったら、あのとき学校を続けられていなかったかもしれない。
そのため、今回の成績についてはご報告したかった。

私の研究テーマに関連する新聞の切り抜きや情報を日本から送ってくれた先輩方。いつも支えてくれる日本やアメリカやエルサレムの友達。スペイン語見直しを手伝ってくれ、作業する私に迷惑がかからないようにとヘッドセットをつけて音楽を聴き、エアーでギターを弾いていた夫。


この9.5は、皆さまのおかげです。

にゃー!

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