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【事例紹介】そこにダニはいるか?可視化による潜在ニーズの掘り起こし
この記事の作成担当:株式会社テンタス 代表取締役 小泉智洋
競争の激しい家電業界に突如現れた新規カテゴリ開拓者。ふとんクリーナー。
初めて目にした人は「おおー!なるほど、そうよね、確かに気になってたわ」って思いませんでした?
風呂上りに体を拭くタオルは6割の人が毎日洗うのに、毎日寝ているふとんはあまりメンテできていないことに心苦しく思ってる人が多いからか、家電業界としては久しぶりの大ヒットカテゴリーでした。
でも「別に今までのやり方でも大丈夫だったし、何が悪いの?」と思う人も多い為、メーカーとしては現時点では自分に必要だと感じていない”潜在ニーズ層”へのアプローチが課題の一つでした。
上記のように既に何らかのニーズが発生している"顕在層"へは製品の機能訴求などでフォローが可能ですが、そもそも必要だと感じていない"潜在層"に対しては、製品を使うことでのベネフィットを訴求するイメージ広告でも、製品の機能を訴求する機能訴求の広告でもなかなか響かずに苦戦していました。
我々はこの課題をクライアントのマーケ部の方々と一緒に取り組みをさせていただきました。
CMや店頭筐体など色々な施策を行わせていただきましたが、全体を通して最も力を入れていたものは【可視化】でした。
ハンドドライヤーを可視化
この可視化というのは良くも悪くも非常に強い効果を発揮します。
最近、公衆トイレなどのハンドドライヤーが軒並み利用停止になっているのを見かけますよね。
確か2014年に行われたハンドドライヤーの実験が最初だったと思いますが、手に付けた絵具をハンドドライヤーにかけてどれだけ飛び散るかという実験を行ったのですが、その結果の写真がなかなか衝撃的でした。
あれでハンドドライヤーってヤバいというイメージが先行してしまい、コロナの感染リスクもあり、いまは殆ど利用停止になっているようです。
本当に感染するかの実験はさほどされていないと思いますし、ハンドドライヤーの種類によっては安全なものもありそうですが、すべて一律に利用停止しています。
ランニングの飛沫を可視化
同じような事例で、ランニングやサイクリング時の飛沫シミュレーションもニュースなどで見たことがあるのではないでしょうか。
この可視化により、ランナー危ない!息は危ない!ランニング許すまじ!のようなイメージが多少なりともついてしまったような気がします。
これらは少し極端な例ですが、このように今まで見えていなかったものを"可視化"することで、人の感情にダイレクトにアプローチが出来るようになります。
百聞は一見に如かずってやつですね。
マイクロスコープによる接写の世界
ふとんクリーナーさんと一緒に行った施策の一つで、キャンペーンのプレゼントとして携帯に接続可能なマイクロスコープを用意してみました。
このマイクロスコープで自分のふとんを見ると、繊維の間に入っている皮膚のカスやダニの死骸などが可視化できます。(生きているダニは表面にはあまりいません)
ちなみにこれが当時そのマイクロスコープで撮影した私の頭皮です。皮脂の詰まりまでみえちゃってました。
ブラックライトを使いアレル物質を可視化
同じように寝室にいるダニの死骸やほこりなども積極的に視覚化しました。
ブラックライトを使うことで、目に見えていないほこりなどを視覚化する試みはダスキンさんなども行っているようです。
このように、普段見えていないものを視覚化することで、意識していなかったことに対してのイメージを植え付けることが出来ます。
視覚化は本当に強力なツールである反面、科学的ではないアプローチだとしても「それっぽく見えてしまう」という課題が常について回りますので、視覚化を行う際は細心の注意が必要です。
潜在的なニーズを掘り起こすための手法は多くありますが、今回ご紹介したものは比較的インパクト重視の事例でした。
これ以外にも様々な手法がございますので、潜在ニーズの掘り起こしを課題とされている際は、是非お問い合わせください。