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【WEB業界のコツ】Vol.001 すべてを疑え!ヒアリング編
この記事の作成担当:株式会社テンタス 代表取締役 小泉智洋
ヒアリングとは?
とてもシンプルに言えば「お客さんに何をしたいかの話を聞きに行くこと」なのですが実はこれがとっても難しいんです。
プロジェクトの最初の重要ポイントでボタンを掛け違えてしまうと後々の作業が非常に大変になってしまいます。
何をしたいかを聞きに行くだけなのですが、それはお客さんが話した言葉をそのまま聞くのではなく、その言葉の裏に隠された課題を見抜くことがとても重要です。
ヒアリングのコツ
ヒアリングのコツは大きく分けて3つあります。
1.その表現を疑え!
2.その前提を疑え!
3.そもそも話している本人を疑え!
この3つのポイントはそれぞれ手法こそ違いますが、その目的はすべて同じです。
「隠された課題(真意)を明らかにする」
このゴールに向かう手法として3つのコツを説明させていただきます。
コツ1.その表現を疑え!
依頼としては非常に良くあるのですが、
「〇〇のようなサイトにしたいんだよね」
と、ご相談を頂くことが良くありますが、これ非常に危険な表現です。
このようなご依頼の際には担当者が単純に好きなサイトを例として挙げていただくことが多くありますが、そもそも業種業態やその会社の持つブランド力、認知度、サイトに求める機能などなどが異なるのに、サイトだけ似せることを目的としてしまうことは最終的に「なんか違うんだよな」を生みます。
「なんか違うんだよな」は、魔法の言葉です。
その担当の「なんか」をヒアリング時にしっかりと明らかにせずに制作を進めてしまい、〇〇のようなサイトのデザインで作ったとしても、そりゃあ「なんか」違います。
だって、そもそも会社のブランドや商品が違いますもの。
このように一見要望がストレートに見えるけれど、その裏に隠されたポイントを明らかにしないことで、最終的な成果物にずれを生んでしまいますので、「〇〇みたいな」という表現が出てきた際はその裏に隠された真意を汲み取るようにしてください。
例えば
・そのサイトのどのあたりが素敵だと思いましたか?
・自社のブランド的にフィットしないと思う部分はありますか?
・同じようなデザインですとこのサイトなどもありますが、イメージは一緒ですか?
つまり、「〇〇みたいな」はどの部分が好きで話しているのかを担当者自身に認識してもらうことが重要なのです。
認識した結果、「〇〇みたいな」という表現を「〇〇のシンプルで説得力のある商品の見せ方は自社の商品特性と一致しているのでその部分を真似たい」というように明らかになるまで頑張りましょう。
コツ2.その前提を疑え!
A.「サイトリニューアルしたいんだよね」
B.「問い合わせフォームを改善したいんだよね」
C.「ECサイト作りたいんだよね」
D.「ソーシャルアカウント運用したいんだよね」
一見わかりやすい依頼に見えますが、これらもちゃんと疑わないといけません。
この依頼にはすべて「何故?」が抜けているのです。
何故、それをしたいかをきっちりヒアリングすることで、
A.「お問い合わせの件数を増やすためにサイトリニューアルしたいんだよね」
B.「離脱率は低いんだけどスマートフォンからのアクセスが増えてきたからスマホに最適化した問い合わせフォームにしたいんだよね」
C.「直販したいのでECサイト作りたいんだよね」
D.「ユーザーと直接コミュニケーションをとることが出来るソーシャルアカウント運用したいんだよね」
という真意を引き出すことができるようになります。
ただ、これではまだ50点です。
ここにはもう少し手前である「現状の課題」が抜けているのです。現状の課題を聞くことで
A.「成約率は変わらないんだけど、そもそものサイトへのアクセスが減っていて、結果としてお問い合わせ件数が減っているので、サイトリニューアルしたいんだよね」
→あれ?リニューアルよりもSEOや広告に力を入れた方がよいのでは?
B.「最近増えたスマホからのユーザーの離脱率が低くてPCユーザーよりも成約率が高いからスマートフォンに最適化した問い合わせフォームにしたいんだよね」
→あれ?元々のPCユーザーの成約率が低い方のケアも必要ですよね?出し分けて作ります?
C.「スーパーに卸していた商品がコロナの影響で在庫になっちゃって、期間限定で直販をしたいのでECサイト作りたいんだよね。コロナが終わったら小売さんだけに戻そうと思ってるけど」
→ということはいかに投資を抑えるかがポイントですね。
D.「うちの商流上ユーザーと交流を持つことが出来なくてクレームなどの声が全くうちに届かないんだよね。直接ユーザーの声を聴くことが出来るチャネルとしてソーシャルアカウント運用したいんだよね」
→じゃあ双方向のコミュニケーションを取ることが出来るチャネルがいいですね。
このように我々が作るものは何らかの課題を解決するものだとしっかりと認識することで、
【現状の課題】
↓
【なぜやりたいか?】
↓
【何をやりたいか?】
をちゃんとお客さんと自分たちの共通認識として持つことができるようになります。
コツ3.そもそも話している本人を疑え!
これはシンプルに言えば「視点の違いを理解する」ということです。
担当者がやりたいこと&上司がやりたいこと&会社がやりたいことのすべてが一致していることは理想です。
ただ人間の集まりである以上、色々な理解の齟齬が生まれてしまうことも事実です。
担当者:商品訴求が出来るカッコいいサイト作りたい
上長:WEBからの販売数を最大化したい
社長:新商品を通して会社のブランド力を上げたい
このようにレイヤーで全く違うことを考えていることが殆どです。
正直これを統一することは不可能ですし、する必要もありません。
ただそうであると認識をしてコミュニケーションを行うことで、担当者が認識していなかったサイトに必要な機能や見せ方が明らかになることがあります。
コツ番外編.なんなら自分も疑え!
最後に、ヒアリング時だけでなく進行時でも常に自分も疑ってください。
お客さんはともするとメーカー目線の罠に憑りつかれてしまうことが多々あります。
「良いものを作れば売れる」
「この商品はとても良いので説明は不要」
「この情報を置いておけばみんな読んでくれる」
これらの思い込みは自社の商品の愛から生まれるものなので決して間違いではないのですが、作り手である我々は常にユーザー目線に立って作る必要があります。
ですので、お客さんの愛からくる思い込みをしっかりとユーザー目線で考えてどう作るかを誘導してください。
お客さんとの関係値が濃くなるにつれて、お客さんと一緒にメーカー目線の罠に陥らないように常に自分も疑ってください。
以上、ヒアリングのコツでした!