『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門(著:冬木糸一)』〜SF好きが未来を作るーービジネスと空想の交差点
【内容】
これからの社会を見ていく指針として、未来社会を描いたSF作品をダイジェクト的に紹介する。
【感想】
テスラ創業者のイーロン・マスクや、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグなど、IT業界の成功者たちは皆SF小説の愛読者だった。
最近そんな話をよく耳にするようになりました。
こうしたテック業界のリーダーたちは、未来社会を想像する助けとしてSFを活用し、それが直接・間接的にビジネスアイデアの源泉になっているのだそうです。
そんな視点から、近未来を描いた優れたSF作品を紹介し、そこに込められたビジネス的な示唆を解説している本でした。学生時代にはSF小説を少し読んでいましたが、ビジネス書の世界でSFが真剣に取り上げられるようになったのは、時代の変化を感じさせました。当時はまだ田中角栄や金丸信といった政治家が活躍していた時代で、未来の話といえば遠い空想のように感じていたものです。
SFで描かれた世界、たとえば2000年になっても人型ロボットや宇宙旅行、透明チューブの飛ぶ車は実現していませんでした。ノストラダムスの予言が外れたように、現実なんてこんなものだとどこか諦観を感じていたような気がします。ところが、近年のインターネットやメタバース、そしてAIの急速な進化を見ると、着実に未来が形作られていると実感します。
学生時代、星新一のショートショートや『我はロボット』『ニューロマンサー』、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』などを読んだり、アニメや映画を通じてSFに触れました。当時、SF古典の翻訳は読みにくく、痛んだ図書館の本にもなかなか手が伸びませんでしたが、それでも『ニューロマンサー』の難解さとカッコよさに惹かれて無理やり読み切った記憶があります。今振り返るとその当時に触れたSF作品は、自分の中に新しい発想の回路を作ってくれた気がします。けれども社会人になってからは、SF映画やアニメを見る機会はあっても、小説にはあまり手が伸びず、最近読んだのは『三体』くらい。この本をきっかけに、またSF小説を読んでみようかと思いました。
この本は、SFの古典からライトノベル、アニメ原作まで幅広く取り上げており、初心者からでも楽しめる構成になっていました。個人的には、気軽に触れられる作品から読んだり観たりしてみようと思いました。
それから、この本は大学やビジネススクールの副読本としても活用されれば、柔軟な発想を育む一助になるのではないかと感じました。
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