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『ハケン占い師アタル(ドラマシリーズ 1話)』〜頑張る役者たちが救えなかったもの――5年前の杉咲花ドラマを振り返る

視聴環境:U-NEXT

※ネタバレします。


【内容】
企画会社に派遣社員としてやってきた杉咲花演じるアタル。アタルには、他の社員には隠していた物事の真相を見抜く能力があり、その能力で水面下に問題を解決していく。


【感想】
ここのところ、『アンメット』や『海に眠るダイヤモンド』など、昨年放送された杉咲花出演のドラマがとても良かったため、今回は5年ほど前のこのドラマを観てみることにしました。
杉咲花の演技は相変わらず魅力的で、良い部分も確かにあるのですが、全体として役者への負担が大きいストーリー展開の影響か、どこか本領を発揮しきれていない印象を受けました。
1話を観進めるうちに、以前このドラマを視聴したことを思い出しました。その時も、杉咲花の出演していた映画の演技が良かったので配信で観たのですが、物語の印象が薄かったためか記憶から抜け落ちていました。
物語の設定やプロットの弱さが目立ち、脚本が混乱しているため、役者がどう演じるべきか迷っているような印象を受けました。幼い頃から才能を知られていたという設定の占い師が主人公であるにもかかわらず、相談者の悩みを占いで解決するのではなく、乱暴な人生相談のような形で答えを押し付け、問題が解決していくという展開に違和感を覚えました。本来であれば、占いの才能を活かして悩みや仕事の問題を解決する、という流れが物語として自然だったはずです。
ドラマを良くしようと、役者陣は非常に頑張っており、演出面でもこの無理のある脚本や流れを補おうと試行錯誤が感じられましたが、やはり限界があったように思います。この作品を通じて、企画のコンセプトや脚本の構造の重要性を改めて実感しました。

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