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『ある用務員(邦画)』〜『ベイビー・わるきゅーれ』は、この映画の脇役殺し屋から始まった…主役を食った爽快アクション!

視聴環境:U-NEXT

※ネタバレします。

【内容】
現代日本を舞台に、高校の用務員として働く殺し屋が、義理の妹を殺し屋の手から守る。

【感想】
映画後半、高石あかりが異様なテンションで笑いながら拳銃を撃ちまくるシーンは、それまでのインディーズアクション映画としての域を超え、純粋に「映画的」としか言いようのない、特別な何かを感じさせる瞬間だった。
後半に登場する殺し屋コンビの一員として出演した高石の演技は、圧倒的な存在感を放っていた。彼女の弾けるようなパフォーマンスは映画全体に鮮烈な印象を与え、物語を一気に加速させる力があったと言える。
さらに、相棒役の伊澤沙織はその華のあるアクションで視線を釘付けにする。身のこなしの美しさや動きのキレだけでなく、アクションの中にしっかりと「感情」が込められている点が特に光っていた。
この殺し屋コンビは後半に少ししか登場しない脇役でありながら、その鮮烈な存在感が監督の目に留まり、結果として『ベイビー・わるきゅーれ』という続編や地上波ドラマシリーズ化につながったというエピソードにも納得がさせられるものがあった。

一方で、それと比較すると主人公の存在感がやや薄いように感じられた。用務員である冴えない主人公が、実は最強の殺し屋だったという定番の「舐めていた相手が実は最強」設定はあるものの、それ以上の個性や魅力が描かれず、結果的に無個性なキャラクターに見えてしまった。設定やエピソードで補おうとする試みはあったものの、映画における主人公のキャラ立ちとは、単なる追加情報では成立しないということを改めて感じさせられる作品でもあった。
とはいえ、アクションシーンや展開そのものは十分に見応えがあり、楽しませてくれる部分は多かった。そして、こうした要素を土台にして成功を収めた『ベイビー・わるきゅーれ』が生まれた背景を考えると、この作品が果たした役割は大きいのだろうと思う。

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