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『グレイテスト・ショーマン(映画)』〜現代版フラッシュダンス?『グレイテスト・ショーマン』が賛否を分ける理由

視聴環境:Amazon prime video

※ネタバレします。

【内容】
幼い頃から貧しい環境で育ったアメリカ人のバーナムが、ショーのプロデューサーとして成功と挫折を経験し、再び立ち上がる姿を描く。


【感想】
冒頭のミュージカルシーンでは、主人公の波乱に満ちた前半生を一気に描き、いきなり最高潮の盛り上がりで観客を引き込みます。ミュージカル映画は、才能ある人々が時間と費用をかけて制作しているからこその説得力が感じられました。
時代の問題意識を反映したストーリーの構成は、現代版『フラッシュダンス』のようにも思えました。『フラッシュダンス』がウーマンリブや女性の社会進出を背景にしているのに対し、『グレイテスト・ショーマン』は人種や性別、文化の多様性をテーマに据えていました。
物語の見せ場をミュージカルシーンで際立たせ、それ以外の部分は大胆にカットして、1時間45分というタイトな構成にまとめています。そのため、映画として気になる点もいくつかありました。特に気になったのは以下の2点です。
1点目は、主人公がショーマンやプロデューサーとして優れている点が十分に描かれていないことです。ミュージカルによる交渉シーンがそれに当たるとは思うのですが、映画全体としては説得力に欠ける印象がありました。
2点目は、物語の後半で都合よく火事が発生し、劇的な展開を作り出す手法です。このような展開は、日本の映画やドラマでも頻繁に見られるので、少し安易に感じました。

全体として、ハリウッド映画の定型的な時間割に合わせて、時間を割り振り、各パートにドラマが配置されていると感じました。豪華で感動的な音楽やミュージカルシーンが、必要最低限の時間に集約されていて、エンタメとして楽しむにはよくできた作品だと思います。売り上げが立つような企画立ち上げ、狙い通りの形で映画が完成し、プロジェクトとしても結果を出したといったはっきりとした意図を感じる映画で、それはかなり成功していると感じた作品でした。
やや否定的にも読める書き方になってしまったかもしれませんが、個人的には楽曲も素晴らしいと感じましたし、とても楽しめた作品でした。

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