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『石川九曜展 状況篇』(上野の森美術館)
この展覧会は、前期後期で作品が入れ替えられ、前期は古典の書、後期は前衛の書をてんじしているとのことでした。
訪れた日が、展示後期の最終日で、混雑しているかもと思いつつ美術館に行ったら、並んだりせずに普通に観覧することが出来ました。
会場には、他の絵画の展示などとも違う独特な雰囲気がありました。
絵の前で墨のついていない筆を持って、エアーで文字を書いている男性とか…
派手なTシャツを着た中国人の男の子が、熱心に書をみていたり…
そういえば、わりと中国語(?)で会話する声も聞こえてきました。
わりと若い人も多くて、その人たちも気のせいかちょっと独特な感じがありました。
そういえば、家族のために学校見学に行った時にあった書道をガチでやっている学生さんは、こんな雰囲気あったことを思い出したりしました。
作品としては、如何にもザッ前衛書道といった感じの書き殴ったような文字のものがあったりもしました。
個人的に、書道は全くの門外漢というか、むしろ苦手分野だったりするので、正直よくわからないこともだらけなのですが…
感情のままに書き殴った系の文字は、わりとどれも似通って見えるなあと…
会場の後半に置いてあった書は、ある種タイポグラフィ的だったり、抽象画的なもので、興味深く観ることが出来ました。
特に、2020年の碧梧桐の俳句を書にしたものは、タイポグラフィ的というかモノクロの絵本の挿絵みたいな表現で、こちらは面白いなあと…
グラフィカルでありながら、墨の線やニュアンスがあるので、味があるというか情報量がある。
イラストレーターとかで、より形状を詰めていったら、それはそれでグラフィックデザイン的な文脈で楽しめるのではないかなあと…
あるいは、この構成の中に、イラストや写真を忍び込ませてみたりすると面白いのではないかなぁとか…
そういえば、石川九曜といえば、以前にデザイナーの大物の浅羽克己に書を教えていたこともあり、そこら辺からの影響もあったりするのかなあとも思ったりもしました。
また、完全に元になる文章はあるのに、全く文字を書いていない(?)、線と色面のみの書もありしました。
『カラマーゾフの兄弟』とか吉増剛造の詩とか完全に元になる文章はあるのに、文字になっていない書…もうカンディンスキーなどの抽象絵画みたいだなという作品もありました。
あと直筆の講演・講義用のレジュメの展示は印象に残りました。
5ミリ角の方眼紙に、だいだい一コマ一文字くらいの縦書きで縦長の文字かわ几帳面に書かれていました。
活字のようにというか、活字以上に綺麗で読みやすい
緻密な思考の一端を窺わせるもので、こうした積み重ねが、書作のバックボーンとして存在しているのだなあということも感じることが出来ました。
帰りに関連本などを売っているコーナに寄ったら、作家のサイン会が行われていました。本を買うとサインしてもらえるとのことでした。
まあ良いかと思って帰ってきてしまいましたが、面白そうな本もあったので買っても良かったかなあと…
帰りに、黒田清輝記念館にある上島珈琲店に寄って一息ついてきました。いつも混んでいてなかなか座れないのですが、今回はたまたま座ることが出来ました。
https://ishikawakyuyoh-taizen.com/tickets/
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