『秒速5センチメートル（アニメ映画）』〜新たな視点で見た新海誠作品

視聴環境:U-NEXT


【内容】
思春期から大人になっていく男女の関係性を、3篇の短編アニメで描いた作品。
『君の名は。』などを制作した新海誠監督の3本目の劇場公開アニメ。

※ネタバレします。


【感想】
公開当時、レンタルDVDで鑑賞した作品を今回改めて観直し、3つの短編が繋がっていたことに初めて気づきました。キャラクターが類型的で個性が薄いため、各短編のつながりを把握しきれていなかったのだと感じています。 新海誠監督の初期作品では、登場キャラクターが少ないにも関わらず、キャラクターの描き分けがやや不足しているように感じました。漫画家やアニメーター出身なら、キャラクターの癖やビジュアル的な特徴をより際立たせるといったことはわりと初期から想定して作られるのでしょうけど…もちろん、私の鑑賞が不十分だった可能性も否定できませんが。
本作は、『君の名は。』と同様に切なくも美しいラストシーンが印象的でした。しかし、『君の名は。』とは異なり、登場人物たちは交わらず物語が完結するという、ある種のバッドエンドと言える結末を迎えます。この余韻深いエンディングもまた、本作の魅力の一つと言えるでしょう。
改めて本作を見直すことで、『君の名は。』が改めて観る人の快楽欲求に忠実な作品作りを、した作品であるかを実感しました。
一方で、本作の背景美術は、今観てもそうとうよく出来ていると感じ、この映像美が新海誠監督の強みなのだと感じた1本でした。

https://www.cwfilms.jp/5cm/