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『初恋の悪魔(ドラマシリーズ 1〜6話)』〜実力派キャストが挑む、異次元のストーリー展開と会話劇
視聴環境:Amazon prime video
【内容】
警察に務める4人の男女を中心としたコメディやミステリーなど様々な要素を持った群像劇(?)。
脚本:坂本裕二
※ネタバレ(?)します。
【感想】
独特な会話劇やキャラクターの立たせ方は、やはり坂本裕二作品だと感じました。
死んだ兄とスマホ越しに会話する主人公、死んだ同僚のスマホに電話をかけ続ける男…。これらのエピソードは、今の時代ならではのシーンでありながら、坂本裕二らしい感性が光っていました。
また、熱さまシートが滑り落ちることで心の動揺を表現するなど、細部に至るまで計算された演出が目を引きました。こうした小道具や動作を使った描写は巧みで、キャラクターの内面を視覚的に語る手法が秀逸でした。
登場人物たちは演劇的とも言えるほど誇張されていて、どのキャラクターもかなり独特。現実離れした、ある意味では破綻したような人物像です。しかし、こうしたキャラクターに説得力を持たせるためには役者の実力が不可欠であり、同時に役者にとっては挑戦しがいのある脚本でもあると感じました。
出演者も、林遣都、仲野太賀、松岡茉優、柄本佑、安田顕、田中裕子、満島ひかりと、どれも主演級の実力派ばかり。これだけのキャストが揃っていることで、脚本の奇抜さやキャラクターの濃さが見事に活かされているとも感じました。
1つのドラマに、普通なら何本分ものアイデアが詰め込まれているにもかかわらず、物語が破綻せずにまとまっているのも驚きでした。また、全8話、それぞれが異なるテーマや新しいアイデアに基づいて構成されており、謎が謎を呼ぶ展開に引き込まれました。
エピソードごとに主人公が変わる構成もユニークで、毎話異なる視点や物語を楽しめる点が、この作品の大きな魅力です。物凄く奇妙でありながら、同時にとても魅力的な作品でした。ただ、こうした変則的な脚本は、坂本裕二という名前がなければ実現しにくいものだとも感じました。同じ脚本を他の作家が書いたとしても、ドラマ化までこぎつけるのは難しいだろうなと感じた作品でもありました。
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