『アメリカン・フィクション』(映画)
視聴環境:Amazon prime video
【内容】
文学専攻の黒人男性の大学教授、売れない小難しい文学的な小説を書いていた。
しかし、気紛れで書いた嘘の黒人ギャングの自伝小説は、出版社から高い評価を得て、高額の契約金を提示されることに…
・カナダのトロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞作。
・第96回アカデミー賞でも作品賞ほか5部門にノミネート。
※多少ネタバレします。
【感想】
今回のアカデミー賞ノミネート作品ながら、劇場未公開でAmazon prime videoで無料配信されているとのことで観てみることに…
企画自体も面白いし、脚本の出来も良いし、コメディとリアリティのバランスの取れた演技もよかったです。
喜劇でもあり、悲劇でもある…
現実の世界でもあり、創作の世界でもある…
ラストシーンが、そのことを所謂アート映画的ではなく、コミカルな展開で表現しているのも良かったです。この映画が観終わった後、自分たちの生きる現実に可能性の扉が開くような終わり方だと感じました。
アメリカに住む黒人がみんなドラッグや犯罪に手を染め、貧困下に生きているという訳でもなく、普通に暮らしている人々が沢山いる…
とはいえ、アメリカなど黒人以外の人が黒人に抱くイメージは、ステレオタイプな黒人像であり、黒人の描く黒人もそうしたものが求められて、そうしたものが受けるのだそうです。
この映画の解説で、そもそもアメリカ黒人の貧困率は、日本社会における日本人の貧困率とそれほど変わらないし、平均所得も日本人の平均所得よりも全然高いのだそうです。
冴えない中年黒人男性が主人公の地味な映画ということもあり、映画館公開されなかったといのは、なんだか色々と残念な気持ちになりました。
黒人の人種問題をコメディー映画として、日本で受けないとの判断なのでしょうし、興行的にも厳しいという判断なのでしょうが…
海外の映画賞を獲ったり、どうやらアカデミー賞も有力という話を聞くと、せめてミニシアターとかで公開出来ると良かったような気がします。
近年、このくらいの規模の映画を上映してくれる映画館が減っているという話もよく聞くので、配信サービスでこんなタイミングで観れるというだけでも、ありがたいことではあるのですが…
https://eiga.com/movie/101122/