『フリーダ 愛と痛みを生きた肖像(ドキュメンタリー映画)』〜フリーダ・カーロ、波乱の人生が生み出したアートの軌跡
視聴環境:Amazon prime video
【内容】
1900年代初頭生まれのメキシコの現代絵画を代表する画家フリーダ・カーロの生涯を追ったドキュメンタリー映画。
【感想】
10年以上前、渋谷の文化村ミュージアムで、フリーダ・カーロの展示を観たことがあります。
フリーダのことは全く知らないで観ました。その時の感想は、個性的と言えば個性出来だか、かなり稚拙で、エモーションは感じるが表現としての生煮えのような印象を受けました。展示解説には、彼女の劇的な生涯が作品の背景として語られており、それを含めた上で評価されているのだろう、と考えた記憶があります。
フリーダの人生は非常に波乱に満ちていました。学生時代には男装をしていたこと、交通事故で大怪我を負ったことで慢性的な体調不良に苦しんでいたこと、さらには妊娠と流産の経験など、その生涯は彼女の作品にも色濃く反映されています。特徴的な繋がり眉毛と濃い顔立ちの可愛らしさは、彼女の象徴ともいえる存在感を放っていました。
また、フリーダは政治活動にも積極的で、バリバリのコミュニストとしても知られていました。ニューヨーク滞在中、夫であり画家のディエゴ・リベラが壁画に労働運動やレーニンを描いたことで、アメリカでの仕事がキャンセルされ、メキシコに戻ることになったというエピソードも印象的です。さらに、トロツキーとの短い不倫関係や、彼女が男女を問わず多くの人と恋愛関係にあったことなど、彼女の私生活は大胆かつ自由なものだったようです。
彼女の作品を語る上で、夫ディエゴ・リベラとの関係も欠かせません。リベラの浮気相手がフリーダの妹であったという衝撃的な事実や、二人の複雑な関係性は、フリーダの創作や生き方に影響を与えています。フリーダの作品には、個人的な感情や出来事が色濃く反映されており、その率直さが彼女の絵画の特徴でもあります。
フリーダの絵柄は、シュルレアリスム運動との関連性や、アンリ・ルソーのようなアウトサイダーアート的な要素も感じさせます。稚拙さと個性が同居したスタイルは、彼女独自の魅力を生み出しています。また、世界的な画家や評論家からの評価や賞賛が、彼女の作品の地位を確固たるものにしました。フリーダ・カーロという存在は、彼女のパーソナリティーやドラマチックな生涯、時代との連動すべてが揃った「惑星直列」のような存在なのだと感じました。
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