This is サイコーにちょうどいい普通!
先日からちょっとずつ巡回中のTheTokyoToilet。今回ご紹介するのはゴリゴリの建築家、伊東豊雄さん設計の代々木八幡公衆トイレ。銀座MIKIMOTOとか、表参道TOD'sとか一度見たら忘れない、何ならその土地のランドマーク的になっているような建物をいーーーっぱい作っている徳の高い人なんだけど……
別名『Three Mushrooms (スリーマッシュルーム) 』であるこのトイレ、確かにキノコみたいだなぁ。けどやっぱり既視感を感じる、新鮮味はないな、というのが本心です。ただ、これまでのフィールドワークから『デファクトスタンダード(この場合トイレがトイレらしい見た目であること)を守らないとユーザーは不安になる』ことは身に沁みて実感しているし、このトイレの後ろが神社なのでその景観を損なわないものでなければいけないことは何となくわかった。それならしょうがないか、とも今のセミプロデザイナー(?)の私ならならなくもないのだ。
この話を先輩にしてみたら「お前は何もわかってないんだな」なんて言われた(私にあとほんの少しの力があれば間違いなく戦いの火蓋は切られていたのだが)。その人曰く、このトイレには凡人である私では気がつけない(私にあとほんの少しの力があr…)、巨匠こその工夫がなされているらしい。
例えば、サインが何箇所にも設置してあることに注目すると、ユーザーが様々な角度から正対可能であり、わざわざ扉の前まで行かずとも、入り口から一見で自分が入れるトイレの位置を確認できる。さらに、トイレの配置構造は分散しており、行き止まりがないという点で防犯に配慮された設計といえる。もちろん、誰でもトイレの動線の確保は確認済みです。抜かりない。インクルーシブかつ安心感のある設計。とめどない配慮。これはたしかに普通じゃないかも。
なんとついに…!まさかの満点でした。先輩が言ってた普通じゃないってこういうことか。ミクロな視点が大事というのはよく聞くが、伊東豊雄レベルにもなると持っているはミニマム・リトルスモール・ミクロとかきっとそのレベル。そんな非凡的視点ないしはスキルを持っているのに、ここまでデザイナーのエゴを感じないデザインは初めて見る。あまりに主張してこないので、逆に心配になってくるほどです。
『さりげなく利用できるトイレ』という1コンセプトを守り抜き作られた、普通っぽいけど普通じゃない、最高の普通(?)とでも言いたいこのトイレ。伊東豊雄は現世でどれだけの徳を積むのか。あぁ豊雄さんのあのあどけない笑顔に嘘なんてあるはずがない。それはこの私が命をかけて断言する。俺が一生守るんだ…!
まぁ会ったことないけど。
追録 おやつは世界を救う。
It's a Sweet World. 甘いものがなきゃやってられない。今回のお供は『ミルクドーナツ』。一見普通のこのドーナツ、真ん中の空洞にはおいしいの秘密が詰まっています。